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統合失調症/Schizophrenia

治療の手順と手法・9…コラムに考えや気持ちを書いて認知を再構成

 治療の具体的なテクニックとして、一般的に知られているのが「コラム法」(認知再構成法ともいう)です。コラムとは、シートに書かれた枠のことで、2コラム法、3コラム法、5コラム法、7コラム法などさまざまな種類があって、自分が取り組めそうなものを、治療者と一緒に選んで実践します。方法は、自分が気になっている出来事について、そのときの認知や感情をできる範囲で簡単な言葉にして、コラムに書き出します。最初に書いた自分のいつもの考えと違う考えを、試しに書いてみます。最初は、2コラムか3コラムなどから始め、だんだん増やしていくようにします。

 2つのコラムであれば、たとえば、その時は「飛行機は恐い」と考えますが、別の考えでは「飛行機での死亡事故率は自動車の死亡事故率よりもはるかに少ない」と考えてみるのです。また、上司に仕事上のミスについてひどく注意されたという出来事があった場合、感情では憂うつになります。その時「上司は自分を嫌っている」と考えますが、しかし別の考えとして「上司は自分を大事に思っていて、一生懸命指導してくれた」と考えます。このように、日頃の思考パターンをまず書き、次にほかの考え方を思いつくかぎり書きます。この2コラム法では、考えと感情を分けたり、日頃の考えと別の考えを探ったりするときなどに使いますが、記入するのが苦手な人には、取り組みやすい形式といえます。

 次に、7つのコラム法を使い、上司に仕事上のミスで注意された出来事について自分の認知を詳しく見てみましょう。

コラム・1…【出来事】
 ○月○日、上司に仕事上のミスについて厳しく注意された。

コラム・2…【認知・考え】
 上司は自分を嫌っている。

コラム・3…【感情】
 不安(90点)

コラム・4…【考えの根拠】
 注意した声が荒々しく大声だった。

コラム・5…【考えの反証】
 注意のあとで、自分にわかるように詳しく説明してくれた。

コラム・6…【合理的思考】
 上司は自分を大事に思っていて、一生懸命指導してくれた。

コラム・7…【心の変化】
 不安な気持ちが減った。(90点から50点に)

 この7つのコラム法では、自分の認知を詳しくとらえ、その根拠をコラム・4で書き、反対の立場からコラム・5の反証を書き、コラム・6で合理的思考を考えることで、認知を再構成することができます。さらに、コラム・3やコラム・7では、点数化することによって、自分の心の変化をわかりやすくしているのが7コラム法です。このほかの認知再構成法としては、認知・感情・行動が図解されたシートに記入する形式のものや、不安や責任感などを円グラフで表す方法などもあります。思いついた事をどの枠に書けばよいのか、迷ったり悩んだりしたときは、治療者に相談して進めます。また、治療者が患者さんの状況を聞き取りながら、一緒にシートに記入して進めることもできます。

治療の手順と手法・10…宿題(ホームワーク)に取り組む

 セッションを通じて理解したことを、毎日の生活の中でいかすことは、治療のうえで非常に重要なことです。それを可能にするのが、宿題(ホームワーク)です。宿題に取り組むことで、治療の方向性があっているか、対策が本当に効果をあげているか、明らかになってきます。セッションとセッションの間は、家庭で宿題に取り組み、反復練習し、経験を積むことで自信につながり、また励みになります。出来る、出来ないにかかわらず、とにかく毎日チャレンジし、継続することが患者さんにとっては大切なことです。

 宿題は、治療の最後に治療者と患者さんで話し合い、その日のテーマにそった内容で決めます。宿題といっても、決して難しい課題ではありません。セッションの中でわかってきた対策の実践です。治療者は、宿題の内容とその根拠や重要性、また期待される効果などを、患者さんに説明します。患者さんは宿題の意義を理解したうえで取り組みます。治療者は「どの課題であれば、取り組めそうですか?」「この作業をすると、不安に慣れることが実感できます」「難しかったら、次のセッションのとき教えてください。ほかの方法を考えましょう」などといった言葉を患者さんに伝えます。

 患者さんは、出された宿題を家庭生活や社会生活のなかで取り組みます。患者さんの希望が反映された内容なので、基本的に難しい内容ではありません。考え方を変えてみる、日記を書いてみる、不安を点数化して毎日シートに記録してみるなどの作業です。場合によっては、セッションで使ったシートを治療者から渡されることもありますが、少し頑張ればできる内容です。こうして取り組んだ宿題は、次回のセッションの導入部で、患者さんから宿題の感想について話します。治療者はそれを聞き、宿題の有効性を判断します。

 出された宿題が出来ない場合もあります。しかし、出来ないからといって悪いことではありません。治療者に悪い、などと落ち込む必要はありませんし、結果がどうあれ治療者はあたたかく迎えてくれます。出来なかった理由については、ハードルが高かった場合もありますので、治療者と患者さんがよく話し合って、見直す必要もあります。「宿題が出来なかったことが気になりますか?」「これから2人で考えてみましょう」「原因がわかれば、また一歩前進ですから…」と、治療者から声をかけて、それをその日のセッションのテーマにしてもよいのです。宿題ができたときは、治療者と患者さんで喜び合うようにします。

治療の手順と手法・11…セッション終了後も続けて、再発防止を

 認知行動療法のセッションを始めて、約3カ月間(数カ月間)の治療を終える頃には、患者さんの思考や行動パターンはかなり変化しています。そして、うつ病や不安障害の症状も緩和してきます。またその時だけの改善ではなく、先々の人生をも改善します。あとはセッション終結後に、同じ症状がぶり返してくる再発を防ぐことが大切です。しかし、認知行動療法を理解した患者さんならば、症状が再発しても自分で対処できます。セッションを通じて認知をとらえる基本スキルが身についていますから、再発を防ぐことができます。

 症状が起きそうになったら、治療者に相談したり、関連資料を活用したり、またセッションの時に治療者の声を録音させてもらった場合は、その録音を聞き直すことによって、再発を防止します。さらに、日記や本を読んで確認したり、宿題の記入式シートなどを見たりして、治療で学んだスキルを応用しながら柔軟に対応していきます。新しい問題が起きても、自分でその状況をとらえ、改善策を考えられるようになります。
















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