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統合失調症/Schizophrenia

3.治療の流れと手法

 認知行動療法の進め方には、基本的な形式はあるものの、実際は治療者が患者さんに合わせて工夫しますので、細部においては患者さん一人ひとりが違った治療と考えてよいでしょう。認知行動療法の最終目標は、患者さん自身が、自分の考え方や感情、また行動をコントロールできるようになることです。そのために、患者さんはその目標をめざして治療に取り組み、治療者は患者さんを全面的にサポートする役目があります。どちらも主役であり、共同作業による治療法と言えます。 

 一般に認知行動療法の場合、1回30〜50分程度の時間で、対話を中心にしたやり取りが行われます。1回の治療を1セッションとよびますが、週に1回ほどのペースで定期的に実施して、全部で12回くらいのセッションで終了するのが一般的です。進行は治療者にまかせ、患者さんは自分の気持を繰り返して話していきます。それを繰り返すことによって、認知・感情・行動をとらえて悪循環を発見し、対策を考えていきます。

認知行動療法の1回の流れ

 認知行動療法(個人認知行動療法)の1回の流れを簡単に紹介しておきます。全体を「導入部」「本題」「まとめ」の3つに分け、1回50分の場合の時間配分とその内容をみてみます。

◇導入部(約10分間)
 ここでは、前回(先週)のセッションで行ったことを振り返って確認し、続いて今回のテーマを決めます。また、宿題が出ていた場合は、その確認も行います。

◇本題(約30分間)
 本題では、患者さんが話したいテーマや、治療者が取り組みたいテーマが中心になります。これを治療のボディといいますが、ここで話し合うことで、患者さんの感じていることや考えが、言葉やイメージとなって出てきます。そして引き出されたことについて、患者さんと治療者で確認し、認知・感情・行動の区別を行います。認知・感情・行動に悪循環があるようだとわかれば、それについて話し合います。その悪循環から抜け出すためにできることは何かをよく話し合い、具体的な対策を一緒に考えます。

◇まとめ(約10分間)
 今回の治療を振り返って、意見や感想をざっくばらんに伝え合います。そして、より良い治療を探っていくように話をまとめます。最後に、次回までの宿題や日時を確信して終わります。

認知行動療法の3カ月の流れ

 認知行動療法(個人認知行動療法)の約3カ月間の流れを概略的にみておきます。週1回程度の治療を、約3カ月間かけて積み重ね、12回のセッションで終わらせるのが標準ですが、長くても16回程度で終わらせます。病気が軽症で、治療が順調に進めば、6回ぐらいで治療が終了することもあります。また病気ごとによって、治療の期間や内容はあらかじめ定められていますが、状況に応じて、途中で治療の進め方や内容、また期間の長さを調整することがあります。

 病気ごとの例でいうと、「うつ病」治療の場合は12回程度のセッション回数で、前半で認知を変え、後半で行動活性化に取り組みます。「パニック障害」治療の場合は10回程度のセッション期間を設定します。前半2回くらいで認知をとらえ、3回目からエクスポージャーという対策に取り組みます。一方、「パーソナリティ障害」治療の場合は、20回くらいのセッションを行います。まず治療関係をつくり、認知や感情をとらえるのに時間がかかるため、セッション回数が増えることになります。なお、治療期間はあくまでも目安で、生活の中でテクニックをじっくりと実践するため、セッションの頻度は1週に1回という回数にこだわらず、2週に1回にするなど、流れを見直す場合もあります。

 以下に示す内容は、3カ月間の治療の一例です。治療者と患者さんとの面接は、治療がスタートする前から行われていて、その中で、患者さんの困っていることがわかり、認知行動療法が必要だと判断されたとき、以下のような流れで治療がスタートします。

◇最初の1カ月目の治療〈認知・感情・行動の関係に目を向けさせる〉
 まず、治療の流れを簡単に説明します。治療者から、「何でもいいから、話してみてくださいね」と言われるので、緊張していた患者さんでも、気持がリラックスできて、いま困っていることを話してみようという気になります。患者さんの話に対して、治療者は「そのとき、どんな気持でしたか?」「そのとき、どんな考えが浮かびましたか?」と質問したりします。こうしたやりとりの中で、治療者は患者さんの認知や感情、行動をつかむようにします。さらに、治療者が「どう考えると、その反対の気持ちになるでしょう」などと言葉をかけたりすることによって、患者さんは認知・感情・行動の関係に目が向くようになります。

◇2カ月目の治療〈フォーミュレーションし、悪循環への対策および実践〉
 患者さんと治療者が話しを重ねるうちに、認知・感情・行動のパターンが次第に見えてきます。パターンが見えてきたことを、治療者が患者さんに伝えることで、治療経過が実感できます。患者さんの状態にもよりますが、フォーミュレーションまでに時間がかかることがあります。それは、患者さんに合わせた治療の進め方をするためです。さて、認知・感情・行動の悪循環が発見されれば、次に良い循環に戻す方法を患者さんと治療者が一緒に考えます。対策が決まれば、それが身に付くまで繰り返して実践します。そのうちに、症状が軽くなり、自信がついてきます。

◇3カ月目の治療〈患者さん一人で作業し、自信がつけばセッション終了〉
 患者さんと治療者の二人で行ってきた作業が、今度は患者さん一人でできるようになり、自信がつけばセッションは終結します。あとは、再発予防のために必ず継続するようにします。







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