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統合失調症/Schizophrenia

はじめに

 認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、うつ病や不安障害の治療の第一選択となっているサイコセラピー(精神療法・心理療法)のことです。世界的に見ても、メンタルヘルスの分野において、もっとも有効な介入法として幅広く用いられています。それは、他の心理療法とは異なり、閉じた体系となっていない点です。したがって、従来型の支持的精神療法や精神分析のように、患者さんの話しを傾聴・受容・共感して、回復をサポートする療法に比べ、認知行動療法の有効性は著しく高く、薬物療法に勝るとも劣らない治療効果が、医学的にも証明されています。

 認知行動療法の特徴は、個々の症状や問題に対して、それぞれ対応できる多様な技法をもっている点です。状況に合わせてもっとも適切な技法が活用でき、それによって有効な介入が可能なのです。そして、他の方法に開かれた体系であるため、生物-心理-社会モデルに基づくメンタルヘルスの活動に適合しやすく、薬物療法などの生物学的介入を含めたさまざまな介入方法と組み合わせることができるため、統合的な活動を構成することも可能となっています。このような点から、認知行動療法はメンタルヘルスの領域に限らず、身体疾患の再発や予防などの領域においても広く導入が可能となっているのです。

 しかし、世界の趨勢と比較すると、わが国における認知行動療法の導入は遅れていました。近年に至って、ようやく日本においても、医療機関で活用されるようになり、実績を重ねつつあります。とはいえ、認知行動療法を習熟した専門家は非常に不足しているのが現状です。イギリスでは、2008年から国家的に巨額の予算をつけて、専門家の養成に取り組んでおり、希望する人は誰でも認知行動療法を受けられるようになっています。わが国においても、2010年から認知行動療法が一部保険点数化されましたが、まだまだ不十分です。国民が良質な認知行動療法を受けることができるようになるためにも、専門家の養成が急務となっています。

 では、認知行動療法とは一言でどんな療法のことでしょうか? 認知とは「考え」のことをいいますが、この考えを修正する「認知療法」というのがもともとありました。一方、行動を修正する「行動療法」もあって、それぞれ別々に発展してきました。認知行動療法は、いわばこの二つの療法をひとまとめにしたようなもので、表裏一体化された療法のことです。したがって、患者さんを温かく受け止める精神療法としての傾聴・受容・共感の部分はそのままベースにあり、そのうえで病気の原因となっている認知や行動の悪循環となっているパターンを見つけ出し、それを良い循環に変えていくことによって、症状を改善していくことを目的とする療法のことです。

 認知、つまり「考え方」は人によって異なります。例えば、

  • @地球は丸い
  • Aお化けは実在する
  • B空は青い
  • C自分が乗る飛行機は墜落する
  • D今の仕事に自信がある
  • E自分は美人(美男子)ではない
  • F明日は雨が降る
  • G初めて会った人とすぐに仲良くなれる
…といった項目について、認知(考え)の確信度をパーセントで表わしたらどうなるでしょうか? もちろんこれは、常識や知識を問うものではありません。自分の主観的な考えをはかるものです。

 この中で、@〜Cの項目については100%信じるか、まったく信じないかのどちらかになりやすい傾向があります。このように、常識的なことについては0か100かの両極端に考えてしまいがちで、それを変えることは難しいものの、しかし変えられないこともありません。一方、D〜Gの項目のように、仕事や自分のことや人間関係などについては、その時の気分や状況、経験、性格などによって確信度が10%であったり30%であったり、50%や70%などのように柔軟に変化します。つまり、認知(考え、気の持ち方)によって確信度のパーセントが変わります。もちろん0%もいれば100%の人もいます。中にはDの「仕事に自信がある」については0%に近い確信で、「自分はダメ人間だ」と考え、気分が落ち込み、不安になり、行動面にも影響が出てきます。このような人に「考え方を変えましょう」と言っても、「地球は平だと思いなさい」と言うのと同じくらい難しいことなのです。

 認知行動療法は、この認知を変えられずに苦しんでいる人のために開発された療法なのです。自分の思考パターンをつかみ、それを変えていくことが出来れば、感情も変わり、行動も変わり、生活も変えていくことができます。本格的な認知行動療法は、専門の医療機関で受けることが出来ます。一般的に、患者さんと治療者(精神科医や専門の臨床心理士)が一対一で話し合いながら進める個人認知行動療法の場合は、一回30〜50分程度の治療を、合計12回程度のセッションで治療を進めていきます。一方、患者さんが3〜10人という複数の場合は、治療者が2〜3人ぐらいついて、グループで治療を進めていく集団認知行動療法という方法もあります。また、症状が軽く医療機関に行くほどでない場合は、自分でワークブックを使って、1人で認知行動療法を行うセルフヘルプという方法もあり、これによって症状を改善することも可能です。





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