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統合失調症/Schizophrenia

遺伝

 世界保健機関(WHO)によると、統合失調症の一般的な発症割合は、地域によって多少の差はあるものの、平均すると約1%の発症リスクとなっています。ところが、統合失調症の親や兄弟姉妹がいる場合における発症の確率は、約10%と言われます。また一卵性双生児の1人が統合失調症だと、もう1人の発症リスクは約50%と言われています。このように、患者さんと遺伝的に近い人ほど、発症の確率は高くなるものと考えられます。また、性格も発症と関与しており、統合失調症を患っている親と性格が似ている場合にも、子どもの発症率は高くなります。両親共に発症している場合は、子どもは40%の確率で統合失調症になるという統計もあります。

 さらに、一卵性双生児の研究においては、遺伝的には同じ素因をもっているにも関わらず、二人とも統合失調症を発病する確率は30〜50%程度と言われます。本来ならば、同じ遺伝という素因をもっているならば100%の確率で発病してもよいものが、約半分程度の発症にとどまっていることは、統合失調症が遺伝病ではないことの証明でもあります。遺伝的要因のうえに環境的要因などが深く関与して発症しているものと考えられます。

 さまざまな研究結果を総合すると、統合失調症の原因には素因と環境の両方が関係していて、遺伝的素因の影響が約三分の二、環境の影響が約三分の一とされています。子どもは親から遺伝と環境の両方の影響を受けますが、それでも統合失調症の母親から生まれた子どものうち、同じ統合失調症を発症する確率は、わずか10%程度と言われます。

ストレス

 統合失調症にかかる人は、もともとストレスに弱い傾向にあると言われています。つまり統合失調症にかかりやすい素因が内因としてあるのです。それは、体の抗病的閾値が低下している状態で、そこに心因であるストレスが加わったときに、統合失調症が発症しやすくなるのです。したがって、統合失調症とストレスの関係は、ストレスが小さくてもかかりやすい素因があって、脆弱性が大きければ発病しますし、また脆弱性が普通であっても、ストレスが大きければ発病するものと考えられます。すなわち、「ストレスの大きさ」と「ストレスを受け止める体の力」の関係で、これは統合失調症に限らず、他の病気についても言えることです。

 ストレスには、精神的な緊張・不安・恐怖・興奮・飢餓・感染・過労・睡眠不足・運動不足などがあります。友人や上司との人間関係、身体の悩みや将来への不安、引っ越しや転勤などの環境の変化もストレスとなります。このように、ごく普通の日常生活のなかでの出来ごとのほか、また寒暖・騒音・化学物質などもストレス要因となります。子どものころは、環境的にも比較的守られているために発病することは少ないですが、自我が芽生え、自分で考えて行動する思春期以降になると、社会に出た時にさまざまなストレス環境におかれるため、青年期の発病率が高くなります。

 自覚症状として、対人関係が億劫になった、一度にたくさんのことができない、集中力や持続力がなくなってきた、生活のリズムが乱れてきたような時、「自分はストレスに弱いから」「いつものことだから」と安易に考えて放置しておくと、知らぬ間に急性期に移行し、さらに重い症状が出てくることがあります。また、自分自身では気付きにくい病気なので、症状を感じたら「自分はストレスに弱いから」と決めつけず、早めに精神科・心療内科を受診することです。

環境

 生活環境も、統合失調症を引き起こすひとつの原因になっています。進学、就職、転職、結婚や、新しい学校や職場、見知らぬ土地、家族からの独立など、生活環境が大きく変わった時は要注意です。順応性の高い人はさほど問題ないですが、急な環境の変化に適応できない人にとっては、それがストレスとなってたまり、周囲の環境になじめなかったり、自分の気持をうまく伝えられなかったりします。また、同じ学校や職場であっても、担任やクラスが変わったり、部署や上司が変わったりしただけでも、生活のリズムに変化が生じ、それが統合失調症の引き金となることがあります。このほか、人間関係のトラブル、恋愛、失恋、受験などによる孤立感、絶望感なども原因の一つになります。

その他

 統合失調症の初期患者さんにおいて、脳の容積が一部低下していたり、死後脳において脳の構造異常がみられたりする例がありました。このことから、脳の発達段階で何らかの障害が関与しているのではないかと考えられます。これまでに、統合失調症の一部は、胎児期の脳神経系の発達障害が原因であるという研究報告があり、動物実験で明らかにされています。ただし、脳の構造的異常が意味するところは、今のところ不明です。脳にもともと異常があって発現したのか、慢性的で長期にわたる罹患と治療の結果、症状や服薬等の影響によって脳を変成させたのかは、現在は鑑別不能です。

発病の危険因子

@ 生まれた季節が冬の場合は危険です。冬季はインフルエンザの季節で、母親が感染したり、日射量の減少でビタミンDが不足したりして、胎児の中枢神経系の発達に悪い影響があるのではないかと考えられています。

A 育った環境が、都会育ちの場合にリスクが高いです。田舎より都会の方がストレスの多い環境にある分だけ、発症しやすくなります。

B 母親が妊娠中にウイルスに感染すると、統合失調症の発症リスクが高まります。特に風疹ウイルスは、胎内で胎児に悪い影響を与えることで知られています。風疹にかかると、発病リスクは通常の約5倍ぐらいです。

C 妊娠中に身近な人が亡くなったりすると、大きなストレスとなって、胎児の成長に悪い影響を与え、統合失調症にかかる危険性が高まります。妊娠そのものもストレスになるうえ、近親者の死が重なって、いっそう心に強いショックを与えるからです。

D 出生時の父親の年齢によってはリスクが高くなり、年齢が高くなればなるほど危険性が高まります。50代では20代の約3倍といわれています。精子に異常がある確率が高まるからです。

E コーヒー、タバコ、アルコール、マリファナなど、習慣性のあるものの中で最もリスクが高いのがマリファナです。使用を始めた年齢が早ければ早いほど、発症率は高まります。これは、脳が発達段階でダメージを受けるためです。15歳以前にマリファナを始めると、発症リスクは4.5倍になるという海外報告があります。


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