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統合失調症/Schizophrenia

統合失調症の症状

幻覚

 幻覚は、統合失調症の代表的な症状の一つです。実際にないものが、感覚として感じられることで、最も多いのが聴覚の幻覚、つまり「幻聴」症状です。誰もいないのに人の声が聞こえてくる、他の音に混じって声が聞こえてくる、複数の人が自分のことを話し合っているのが聞こえてきたりします。主に、非難したり、命令したりする声が聞こえてくることが多いです。「お前は馬鹿だ」と批判されたり、「あっちへ行ってくれ」と命令されたり、「いまトイレに入ったな」と本人を監視しているような内容の声です。

 幻聴のタイプには、次のようなものがあります。@何かをしようとすると、それに対するコメントが聞こえてきます(多くの場合は、ネガティブなコメントです)。A命令をする声が聞こえてきます。B複数の人が会話をしていて、しばしば自分の噂や悪口を言っている声が聞こえてきます。C自分の頭の中の考えが、外部の別の声として聞こえてきます。自分の考えが、声となってはっきり聞こえてくる症状ですが、不思議な現象といえます。

 幻聴は、他人にはなかなか気付かれませんが、身近な人が幻聴の症状で悩んでいる場合、本人の言動を注意深く観察していると、そのサインを読み取ることができます。誰かに話しかけているような感じ、誰もいないのに会話をしているような感じ、誰もいない空間へ向かって叫んでいるような感じ、また幻聴に聞き入ってニヤニヤ笑ったり(空笑い)、幻聴との対話でブツブツ言ったり(独り言)する言動です。

 幻聴は本人にとっては、非常にうるさく、不快なもので、聞こえてくる声のせいで眠れなくなったり、仕事に集中できなくなったり、物事を楽しめなくなったりして、日常生活や社会生活を送るうえで障害となってきます。また、幻聴によって、自分自身がコントロールされてしまう危険もあります。幻聴から被害妄想が生じることもあります。幻聴が聞こえたら、早めの治療が必要です。

 この他、幻覚には、見えるはずのないものが見える「幻視」、ご飯が青酸カリの味がするといった「幻味」、身体を触られているという「幻触」など、いわゆる人間の五感である視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚のすべてに起こる可能性があります。幻覚がみられる病気には、この統合失調症のほか、てんかん、薬物中毒、薬物からの離脱症状、脳腫瘍、脳炎などがあります。 

妄想

 妄想も、統合失調症の代表的な症状の一つです。妄想とは、明らかに誤った考えを根拠もないのに信じてしまう状態です。周囲が、説得したり誤りを指摘して見せても、それを受け入れることができません。このように、普通に考えればあり得ないことを、現実のことだと固く信じてしまう状態は、心の調子がかなり悪くなった時に出現します。妄想でも、いろいろな種類があり、一番よく見られるのが被害妄想です。

 被害妄想で多いのが、誰かに尾行されている、見張られている、盗聴されている、噂をされている、自分のことが放送されているといった内容のものです。被害妄想でもいろいろあって「警察が自分を尾行している」といった追跡妄想、「街中にいる人の中に敵が紛れていて、自分を襲おうとしている」といった迫害妄想、「近くに住む人の咳払いは、自分への警告だ」とか、「テレビのニュースキャスターが、自分に特別なメッセージを知らせてきた」といった関係妄想、「道を歩いていると、皆が自分をジロジロ見ている」といったように、他人から注目されている注察妄想などの他、「飲食物に毒を入れられた」と思い込む被毒妄想、「自分の物を盗られた」と思い込む盗害妄想、「悪い病気にかかっている」と思い込む心気妄想、「財産を失ってしまった」と思い込む貧困妄想、「自分は罪深い人間で、皆に迷惑をかけている」と思い込む罪業妄想、「自分は世界を動かす力がある」「自分は特別に選ばれた人間である」と思い込む誇大妄想などがあります。また「盗聴器が仕掛けられている」「皆が自分の悪口を言っている」「夫が浮気をしている」などの被害妄想もあります。

 妄想に近い症状としてあるのは、「思っていることが声となって聞こえてくる」という考想化声、「自分の考えに反し、誰かが自分の考えや体を操っている」という作為体験、「自分の考えが社会や世界に知れ渡っている」という考想伝播などがあります。これらの症状は自我障害といって、自分が行っているという感覚が損なわれていることから起こる症状です。

生活上の障害となる症状

 統合失調症では、幻覚や妄想のほかに日常生活や社会生活における障害が現れるのが特徴で、適切な会話・行動・作業ができにくくなることによって認められる症状です。これらの症状は陰性症状と言われるものです。病気による症状とは異なってわかりにくい症状で、患者さん本人も説明しにくい症状です。したがって、周りの人からは常識がない、社会性がない、気配りがない、怠けているなどと誤解されることもあります。

《知的障害による症状》

 主に会話と行動面で症状が現れます。例えば、日常的な会話をしていても、話のピントがずれる、話題が飛ぶ、相手の話のポイントが掴めない、何を言いたいのかわからなくなり、話が支離滅裂になります。考えが急に中断され、突然何も言わなくなることもあります。いわゆる知的な障害によるもので、考えをまとめることが出来ない症状です。これは行動障害としても現れます。仕事をしていても行動の能率が悪くなり、作業ミスが多くなります。何のための行動をしているのか滅裂になります。そのうちに、興奮して騒いだり、独り言を言ったり、おかしくもないのに笑ったり、その辺をあちこち歩き回ったりすることもあります。

《感情障害による症状》

 感情の動きが乏しくなるために起こる障害です。症状としては、喜怒哀楽が少なくなり、周囲に対して無関心になり、表情も乏しくなってきます。この感情障害は、自分の感情と他人の感情の理解という双方において生じます。自分の感情における障害は、感情の動きが少ない、物事に対して適切な感情がわきにくい、感情を適切に表せずに表情が乏しくなり固くなる、それなのに不安や緊張が強く現れる症状です。他人の感情については、相手を理解するのが苦手になり、相手の気持を理解できなくなり、誤解することが多くなります。したがって、人間関係が希薄になって、自分の世界に閉じこもり、家からほとんど出なくなります。

《病識の障害による症状》

 統合失調症の場合、自分自身が病気であることを認識出来なくなります。幻覚や妄想のような症状が、病気による症状であることに自分で気付くことができなくなります。幻覚や妄想が病気の症状であると周りから言われても、そう思えないのです。しかし、治療が進んで病状が改善してくると、自分の症状について、徐々に認識できるようになります。ただし、自分以外の他の患者さんについては、それが病気の症状であると認識できますので、判断能力そのものの障害ではないのです。他人の立場から自分を見て、自分の誤りを正していくという機能が障害されていることが原因となっているからです。




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