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チック症

チックは家庭であらわれることが多いため、まず母親が気づきます。ひんぱんなまばたきや首ふりなどの動きは唐突で、ふだんの生活になじまないので奇妙にみえ、心配になります。 これまで、チックは心理的な要因によるものと誤解されていました。そのため、子どもにチックの症状がみられると、多くの母親は自分のせいかと、不安になってしまうのでしょう。 いまでは、チックは神経の病気であることがわかっています。子どものうちにあらわれるのは、まだ脳が発達段階にあるからです。 つまり、成長とともに、多くのお子さんは症状がなくなるか、軽くなっていきます。 とはいえ、なかには症状が進んだり、長期化したりして、トゥレット症候群と診断せざるをえないケースもあります。 そのようなときにも、まずは経過を観察していきます。 本人がつらくて生活に支障があるようなら、薬物療法などを考えます。  チックやトゥレット症候群は、みた目には病気だとわかりにくい症状なので、わざとやっているのではないか、悪意があるのではないか、などと誤解されることが少なくありません。 ところが、彼らは傷つきやすいことも特徴のひとつなのです。


概説

チックは小児期ではまれな疾患ではありません。 しかも多くのチックは成人するに伴い自然に治癒する傾向があります。 チックとは突発的、急速、 反復性、非律動的、常同的な運動あるいは発声で、発症が18歳未満で4週間以上持続するものをいいます。 チックについては、かつては精神分析の視点からの解釈が盛んに行われ、対人関係や親子関係における心理的葛藤が問題視されて、心理療法や精神療法が治療の主体であった時期がありました。 しかし、重症のチックを発症する家系(トゥレット症候群)があることが知られるようになったことなどから、最近ではむしろ脳の機能的障害として遺伝的側面も検討されるようになり、とくに脳内ドーパミン受容体との関連が注目されています。 しかしながら、チックは本人が止めようとするとかえって増強したり、ピアノの発表会などの緊張場面で強まることがあるのは確かで、チックは心理状態に影響されやすい疾患でもあります。 またチックを発症する小児の母親が神経質で過干渉という印象を与えることも少なくありません。 これらのことから、現在ではチックを発症する小児とその親(とくに母親)との間には、遺伝上の気質的な共通性があるのではないかと考えられています。


チック症・トゥレット症候群

一般的にチック症・トゥレット症候群では以下のような症状が現れます。


音声チック
「アッ」「ウッ」などの声が出る・「フンフン」と鼻をならす・「んっ、んっ」とせきばらいする・奇声を発する・ひわいな言葉や、「バカ」「死ね」などと言う・相手の言葉の語尾を繰り返す・自分で言った言葉を繰り返す。

動作性チック
筋肉がピクンと動く・口のまわりをなめる・頻繁にまばたきをする・顔をしかめる・肩をすくめる・ジャンプする・片足をひきずる・物に触る・口をあける。

トゥレット症候群
複数の動作性チックと音声チックを伴い、症状が1年以上続くものをトゥレット症候群と呼びます。


症状

チックの種類は運動性チックと音声チックに分けられます。

[1]運動性チック  顔面のチックはまばたきや、口をゆがめたり、鼻翼をピクピクした動きなどがあります。頸部では頭をねじったり、前屈、あるいは後屈させたり、1回転させるなどです。肩ではぴくっとさせたり、肩をすぼめたりします。手ではぴくっとさせる、くねらせる、手を振るなどです。体幹ではそらせたり、ねじったりします。脚では蹴る動きをしたり、スキップをしたりします。運動性チックの中で、まばたきは日常動作でみられるものであり、多少まばたきが多くても周囲の人間はとくに気にしていません。しかし、周囲の人の目にとまりやすいチックでは、本人も気にするようになります。また、手のチックなどでは、字を書くのが困難になるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。

[2]音声チック  音声チックでは咳払いがもっとも多く、その他単純な音声、複雑な発声、汚言(バカ、死ね、くそババア、卑猥な言葉)などがみられます。咳払いは日常よくみられるものであり、周囲の人間もとくに気にしていないことが多いのですが、甲高い奇声や汚言は、運動性チックよりも周囲の注目を集めてしまいます。そのため、本人がそのことを気にして登校を渋ったり、外出がしにくくなったりすることが問題になります。


診断

チックは一般の小児科や心療内科において比較的容易に診断可能です。現在はDSM-IV(米国精神医学会編集による『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第4版)の診断基準が用いられています。この診断基準によると、チックとは18歳未満で4週間以上持続するものをいい、その種類と持続時間によって3種に分類されます。しかし実際にはチックの臨床像は一過性チック障害からトゥレット症候群まで連続性があり、必ずしも3種に分類されません。チックの初発症状としては強いまばたきが多い傾向にあります。その他口角の動きなど顔面のチックや、頭をふる頸部のチックからはじまることが多く、チックが手からはじまることは多くありませんし、体幹、足からはじまることは極めてまれです。チックに関連した疾患の中でも、多彩な運動性チックと音声チック、および特異な性格傾向を示すトゥレット症候群では、40%以上に注意欠陥・多動性障害(ADHD)を合併します。また学習障害を合併していることもあります。 鑑別診断としては意識がはっきりしていて、不随意運動をきたす様々な疾患が対象となります。すなわち舞踏(ぶとう)病、突発性ジスキネジア、部分てんかんなどです。


原因

原因は確定していませんが、基底核におけるドーパミン系神経の過活動仮説が提唱されています。また双生児研究などから、遺伝的要因も関与していることも示唆されています。
統合失調症や自閉症と同じようにかつては「親の養育」「家族機能」などに原因を求められたこともありましたが、現在では前記2疾患と同様、それらの説は否定されています。しかし精神的ストレスで悪化するなど、症状の増悪に環境要因が関与しているのは事実です。
また、社会的に広く見られる左利きの者に対する強引な矯正などでそのストレスの後遺症により発症することがあるとも言われています。


標準治療

チックは本人、家族および周囲の人にその症状を理解してもらい、チックの症状が出てもことさら気にせず、日常生活が円滑に行えるようにすることが大切です。チックが心理的葛藤で生ずるという考え方は主流ではなくなりましたが、心理療法、行動療法が行われる場合もあります。
チックは基本的に薬物療法の対象とならない疾患ですが、しばしばの音声チック、多彩な運動性チック、あるいはその両方を認め、学校・家庭での生活が障害される場合、つまり音声チックが授業を妨げたり、本を読むことが全身性チックのために困難だったり、学校で汚言が出ることが心配で登校拒否になったりした場合は薬物療法を行います。


標準治療例

セレネース
1日0.3mgを2〜3回に分けて服用します。2週間経過をみて、日常生活に支障をきたすようなチックが残る場合は増量します。増量は0.25〜0.5mgずつ行い、3mgを限度とします。
オーラップ
1日0.5〜1mgを1日1回服用します。
リスパダール
1日0.5〜1mgを1日1回服用します。














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