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職場のメンタルヘルスとうつ病 (5/5) : 症例

単極性うつ病の治療とリワークプログラム(45歳男性・会社員)

Mさんは、勤勉な働きぶりを認められ、部長に昇進した。最初は周囲の期待に応えようと張り切って仕事に打ち込んでいたが、ノルマをこなすために残業時間が増え、休日出勤もしばしばするようになった。Mさんは仕事を頼まれると断れない性質で、なおかつ部下や上司との人間関係にもストレスを感じるようになり、徐々に睡眠がとれず食欲がなくなり、集中力を欠きミスが続くようになった。 しかしMさんは、「自分の能力不足が原因だ」と自責感を強めていき、ついには「自分には生きている価値がない……」と思うようになった。

Mさんの異変に気づいた妻が付き添い、ある精神科クリニックを受診したところ、うつ病と診断された。主治医は3ヵ月間の自宅休養と外来通院を勧め、Mさんもそれを受け入れた。 徐々にうつ状態は改善し、3ヵ月を経た時点でMさんはもとの部署に復帰した。

しばらくは調子も良かったが、再び以前と同じような症状が出現し、再休職ということになってしまった。 今回の休職では、リワークプログラムに参加してみることにした。

認知行動療法などを中心に、自分自身の弱点を見つめ直し、対人関係でも自信を回復したところで、職場の産業医や上司と連絡を取り合い、リハビリ出勤から徐々に仕事をはじめた。 現在は再発せずに、復職後半年以上経過している。服薬の継続と、土曜日にはフォローアッププロブラムに参加し、引き続き状態の安定維持に努めている。

うつ状態と診断されたが、リワークプログラムを通して双極性U型が発覚した男性
(36歳男性・会社員)

Nさんは、コンピューター関連の会社に勤務していた。 システムエンジニアは出向が多く、就労時間も不規則で、深夜に帰宅することも珍しくなく、帰宅した後は疲れて寝るだけという生活が続いていた。

そのうち、頭痛や吐き気などの身体症状がひどくなり、内科を受診したが、とくに異常は認められず、心療内科を紹介された。 そこでNさんは、うつ状態と診断され休職となり、抗うつ薬を中心に処方された。

だいぶ症状が改善したので、復職に向けでリワークプログラムに参加してもらい、様子をみていたところ、集団のなかで率先して役割を引き受け、リーダーシップを取るようになった。Nさんはときに、周囲の意見を受け入れられなかった。 そこでNさんと奥さんから、もう一度詳しくこれまでの経過を聞くと、うつ状態とうつ状態の合間に、急にお喋りになることがあり、考えがまとまらなくなったり、イライラして落ち着かず、深夜にもかかわらず実家に度々電話をしたことがあるのがわかった。

診断は、うつ病から軽い躁状態を伴う双極性U型障害(躁うつ病)と変更され、気分安定薬を中心とした処方に変更した。 やがでNさんの言動は落ち着き、感情の起伏も小さくなっていった。

環境調整をはかりつつ復職を果たした非定型うつ病の女性(26歳女性・会社員)

Oさんは大学卒業後、ある企業に就職し、事務系の仕事をしていた。 ふだんは明るい性格だが、ある日些細なミスをして上司から叱られ、急に落ち込んでしまい、それをきっかけに会社を休みがちになった。

通勤のために電車に乗ると、急に心臓がドキドキして息苦しくなったり、自宅にいても1日中眠気や倦怠感が続き、ベッドに入ったまま起きられないこともあった。 しかし、食べている間は少し気が紛れるので過食気味になり、また気の合う友達とは食事や買物や旅行に出かけたりもできる。

Oさんは、「こんな状態になったのは、今の仕事が自分にあっていないからだ」と思い込み、もっと自分にあったやりがいのある仕事に変えてもらえるよう、自分から上司にメールを送った。

そんなOさんの様子を心配した母親が、Oさんを連れてメンタルクリニックを受診したところ、非定型うつ病と診断された。

Oさんには、個人面接と同時にリワークプログラムに通ってもらうことで、生活のリズムを整え、認知行動療法やコミュニケーションープロブラムなどを通して、対人関係について学んでもらった。 また、本人の同意を得て、職場の産業医や人事担当者と連絡を取って、環境調整を図り、なるべく早い時期に職場復帰へとつなげることができた。 復職後、Oさんには外来へ、母親には家族教室に通ってもらいフォローを続けている。



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