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職場のメンタルヘルスとうつ病 (3/5) : リワークプログラム

職場復帰支援(リワーク)プログラムの必要性

日本生産性本部メンタルヘルス研究所が実施した「心の病による休業者の復職」に関する企業アンケート調査では、「心の病からの復職プロセスが問題なく行われているか?」という質問に対して、約半数の企業が「まだまだ問題が多い」と回答しています。 同研究所は復職プロセスをうまく行うことで、病気の再発を防ぎ、心の病の増加抑制につながると指摘しています。

リハビリ期を段階的に効率よく過ごすために、デイケアを利用した復職支援プログラムを実施している施設が増えてきました。 これをリワークプログラムと呼んでいます。

デイケアというのは、昼間専門施設に通い、専門のスタッフからサポートを受けるもので、短時間の外来診療に比べると、さまざまなメリットがあります。 患者さん1人でリハビリに取り組み復職を目指すのは、かなり努力を要することです。 しかし、デイケア(ショートケア、デイナイトケアを含む)では、安心できる居場所を確保することができ、同じような悩みをもったメンバー同士でコミュニケーションを取り合うことで孤立感がなくなります。

病気に対する理解を深め、復職や再就職に向けて、SST(社会技能訓練)などのプログラムを通してモチベーションを向上させ、職場や家族との調整をしていきます。 また職場復帰を果たした後も、フォローアップを受け、病気の再発を予防することができます。リワークプログラムの主な目的として、次のようなことがあげられます。

  • 規則正しい生活スタイルを確立する
  • 当事者同士、あるいはスタッフとの交流の場をもつ
  • 安心できる場所で、さまざまなプログラムを通して心の成長を図る
  • 復職・就労への具体的な備え
  • 再発予防(再休職を防ぐ)のための生活を確立する

リワークプログラムの概要

[スタッフについて]
精神科医、看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士、キャリアカウンセラーなど、多職種で構成されたチーム医療になります。 それぞれの専門的な立場から多面的にサポートしていくという点が、医師と患者さん1対1の対応が基本となる外来診療との違いでしょう。
[規模・利用について]
ショートケア、デイケア、デイナイトケアなど、それぞれの施設によって異なります。また病状の回復に伴い、徐々にレベルを上げていくところもあります。 すでにほかの医療機関に通院している場合、転院し主治医変更が条件であるところもあります。(これまでの主治医からの診療情報提供書が必要になります)
また復職先がある休職者(会社などにまだ籍があるサラリーマン、公務員、教職員など)のみ、リワークプログラムに受け入れている施設と、回復すれば求職しなければならない患者さん(学生や主婦も含む)も受け入れる施設がありますので、前もって問い合わせてみてください。
[経済的支援]
患者さんが安心して治療に専念するために、経済的な基盤について自分の職場の病気休暇や休職に関する規定がどうなっているのか、休職期間の賃金の支払いについてどうなっているのかなど、就業規則などを確認しておく必要があります。
また健康保険組合から支払われる傷病手当金の手続きについて知っておくことも必要です。公務員と民間企業の場合には仕組みも違います。

リワークプログラムの具体例

患者さんは1人でいると、どうしても家にひきこもりがちになってしまいますが、デイケアでは決まった時間に起きて、家を出て通うという習慣を身につけることができます。職場に通勤しているときと同じように、時間帯をあわせて通うという練習になります。回復期には、通勤に耐えられるだけの体力をつけなければなりません。最初は少々きつくても、いったん家を出てデイケアに参加すると、徐々に気分が上がってきて、そのあとは楽に過ごせるようになるという人もいます。

まずは「遅刻しないで通う」ということが、リワークプログラムの第一歩です。 そして復職に備えて、目標をもってプログラムに参加し、自信を取り戻していきましょう。

リワークを実施している各施設により、プログラムの内容は多少違いますが、おおむね共通するプログラムは次の通りです

[心理教育プログラム]
精神科医が気分障害に関して、病気の成り立ちや抗うつ薬服用に際しての注意点などを専門的な立場からわかりやすく説明します。自分の病気について正しく知ることは大変重要なことです。また、セルフケアやストレスマネジメントを学び、再発予防に役立てます。
[テーマトーク]
毎回ひとつのテーマを決めて、それについて現在の考えや気持ちを話し合います。たとえば、仕事上の挫折体験から休職に至った経緯など、グループ内のメンバーと分かち合うことで、もやもやした気持ちを整理し、自己分析をしていきます。
[オフィスワーク(職業技能回復訓練)]
職場でのデスクワークに順応するため、パソコンを用いてワード、エクセルなどに習熟していきます。 そのほか、新聞や雑誌や本に目を通したり、自分で課題を設定し、少しずつ仕事への勘を取り戻し、集中力や思考力を高め、達成感を養うのが目的です。
[集団−認知行動療法]
抑うつ感情が生まれる根底には、認知の歪み(アンバランス)があり、抑うつ感情はさらなる認知のかたよりを生み出すといわれています。 うつ病は、長年にわたる物事の捉え方、考え方のかたよりの積み重ねによって発症したともいわれます。 自分はどういう場面で不安感や抑うつ気分を感じるのか、そのときどんな考えが頭をよぎるのか、ほかに違う見方はないのかなど、自分の考え方のクセを発見し、より柔軟で合理的な見方に修正していく作業です。
不快な気分を感じた状況や、そのときの気分の内容と程度、そのときに浮かんだ心の声(自動思考)、それに対して別の考え方はないのか、そちらを採用することで、結果的に不快な気分はどの程度変わったのかなど、「思考記録」をくりかえし記入していくことで、考え方の幅が拡がり、徐々にバランスのとれた考え方が身につきます。 同じ出来事が起こっても、それに対する見方・捉え方が拡がることによって、感情や行動が少しずつ変化していきます。
認知行動療法はうつの再燃・再発にすぐれた予防効果があることがわかっています。
[コミュニケーションープログラム]
職場でのコミュニケーションがスムーズに進むように、実践的なトレーニングを積みます。
自分も相手も大切にしつつ、自分の意見、考え、気持ちを率直に、素直に、その場にふさわしくより良い人間関係を築くための自己表現は、どのようにすればよいのか、相手の立場になって練習します。(口ールプレイ) これをアサーショントレーニング(さわやかな自己主張)といいます。
[リラクゼーション]
ハイキング、ヨガ、ストレッチ、呼吸法、卓球などで心身のリラックスを図ります。
有酸素運動は、うつ状態の改善にプラスの効果があります。手工芸、コーラス、アロマセラピー、映画鑑賞、音楽鑑賞などもあります。
[ミニクッキング]
フロアの小キッチンで、スタッフ指導のもと、簡単な料理教室をします。
料理という協同作業・分担作業を通して、メンバー同士のふれあいを育て、同時にうつ改善に役立つ栄養指導も行っています。
[個人カウンセリング]
ディケアプログラムは集団療法ですが、個人個人病状も違いますし、置かれている立場も違います。 そのため患者さん固有の問題については、主治医と1対1でのカウンセリングが必要になります。
とくに、復職が近づくと、職場とのやり取りも増えてきて急に不安が高まる方もいますので、個人カウンセリングは欠かせません。
[リワーク卒業生によるプログラム]
リワークプログラムを終了し、復職された方に体験談を話してもらい、現在このプログラムを利用している患者さんとの間で意見交換をし、より具体的な回復のポイントを理解してもらいます。
[快復チェックノート]
デイケアでリワークプログラムを受けた日の最後には、患者さん自身が自分の心身のコンディションについて振り返り、活動記録表や自己管理チェックシート、快復チェックノートといったものに記入し、スタッフがその内容をもとにアドバイスを記し、フィードバックをしています。


うつ病リワーク研究会

復職支援に関する研究活動を目的として、平成20年3月にうつ病リワーク研究会が発足しました。
この研究会の設立趣旨は、復職支援プログラムの開発や標準化と復職支援活動の普及啓発であり、全国規模で加入医療機関が増加しています。


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