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治療に要する期間と回復率

 神経性無食欲症においては、軽度で一過性のものもあれば、重篤で長期的なものもあります。国内における調査によると、初診後4〜10年経過した患者さんを調べたところ、全快が47%、部分回復が10%、慢性化が36%、死亡率が7%という報告があります。この神経性無食欲症の患者さんの転帰に影響する要因としては、初発年齢、罹患期間、入院治療期間、体重減少度、過活動・食事制限の有無、嘔吐、大食・下剤乱用・利尿剤乱用、病前の発育発達上の異常や症状、親子関係、病気の慢性化、演技性または強迫性パーソナリティ、社会的・経済的地位の高さなどがあり、これらの要因を検討した報告では、予後に良好に影響する因子としては「良い親子関係」や「演技性パーソナリティ」などが挙げられます。不良因子としては「嘔吐」や「大食・下剤乱用などの不適切な代償行為」「病気の慢性化」などです。実際に、不良因子である不適切な代償行為のある神経性無食欲症の患者さんの退院5年以上の調査では、死亡率が15%を超えたという調査報告もあります。


神経性無食欲症の経過と予後

◆経過

 神経性無食欲症の経過には、いくつかのタイプに分けられます。

  • @ 摂食制限型で発症し、大食を生じずに経過するタイプですが、このタイプは2つに分かれます。一つは急性経過をとり比較的短期間で回復して予後も良い場合と、もう一つは慢性経過をたどる場合の2つです。この慢性経過をたどる場合、発症から数年〜10年以上経過しても大食を生じず経過する症例で、日常生活はかなり制限されますが、生活はどうにかしています。
  • A 摂食制限型で発症し、大食型に移行して経過するタイプで、神経性無食欲症の中で最も多いタイプです。大食型に移行して、嘔吐などの排出行動を示し、低体重で慢性に経過します。
  • B 摂食制限型で発症し、大食型に移行して嘔吐などの排出行動を示しますが、体重は正常化して神経性大食症の排出型に移行して経過するタイプです。このタイプは長い経過をとることが多く、神経性大食症で神経性無食欲症の既往歴がありと診断されます。
  • C 上記の神経性大食症の排出型からさらに神経性大食症の非排出型に移行して経過するタイプで、肥満に傾いていきます。

◆予後

 思春期の治療の転帰は良好で、およそ80%が回復しています。しかし、この病気が3年以上続いている人の経過はあまり良くなく、良好な回復を示す例は50%以下になり、また30%以上に何らかの形でむちゃ食いが生じ、社会的および身体的な障害が残ります。またある研究では、退院後6.2年経過した51例について検討した結果、回復が76%、部分回復が8%、不良が8%、死亡が8%という報告があります。一方、外国で行われた転帰調査結果によると、追跡期間4年以下では、回復が32.6%、部分回復が32.7%、不良が34.4%、死亡が0.9%で、これが10年以上の追跡期間になると、回復が73.2%、部分回復が8.5%、不良が13.7%、死亡が9.4%となり、回復は増加するものの死亡も増加します。さらに10年以上経過しても良くならず、慢性状態で経過している患者さんも10%以上います。  なお、神経性無食欲症の総死亡率は5.9%で、その死因の内訳は、合併症によるものが54%、自殺が27%、原因不明が19%となっています。


神経性大食症の経過と予後

◆経過

 神経性大食症の経過も、いくつかのタイプに分けられます。

  • @ 大食で発症し、排出行動が生じないで経過するタイプで、これも一過性で良くなる場合と、慢性化して体重が正常から肥満に傾く場合の2つに分かれます。
  • A 大食で発症し、排出行動が生じて経過するタイプで、神経性大食症の中で最も多くみられるタイプです。この場合、たいていは慢性化していきます。
  • B 大食で発症し、排出行動を生じ、その後低体重になって神経性無食欲症の大食・排出型に移行して経過するタイプです。このタイプの人は多くありません。

◆予後

 5〜10年の追跡期間で、50%の患者さんが完全に回復し、30%の患者さんは再発しており、20%の人はなおも神経性大食症の診断基準をすべて満たしているという報告があります。さらに9〜11年の追跡期間で、回復と部分回復が47〜73%、不良が9〜30%となっています。神経性大食症の死亡率の研究はきわめて少ないのですが、ある研究報告では、全体の死亡率は0.3%と報告しています。死因は、自殺や事故死、心不全を伴う身体疾患とされています。


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