トップページ tel:0792626871

疾患の詳細

神経性無食欲症とは

アメリカ精神医学会(DSM-W-TR)による神経性無食欲症の診断基準を要約すると次の4点です。

  • 1. 年齢と身長から計算された標準体重の85%以上を維持することを拒否すること。
  • 2. 体重が不足している場合でも、体重が増えることや肥満になることに対する強い恐怖がある。
  • 3. 自分の体重や体型の感じ方の障害:自己評価が体重や体型に過剰な影響を受けている。または現在の低体重の重大さを否認する。
  • 4. 初潮後の女性の場合は、3回以上続けて月経がない(女性ホルモンを投与されたときのみ月経が起こっている場合は、無月経とみなす)。

※[病型: ◇制限型=現在の神経性無食欲症の間、定期的な大食や嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸などの乱用をしていない。 ◇むちゃくい/排出型:現在の神経性無食欲症の間、定期的な大食や嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸などの乱用をしたことがある]


 ここでは標準体重の85%未満と定めていますが、日本人とアメリカ人では体型のうえで大きな違いがあるため、それを考慮して現在日本では標準体重の80%未満を神経性無食欲症と診断しています。


 このように、標準体重より2割も体重が減少すれば、普通の健康的な人であれば「こんなに痩せてしまって!」と非常に心配になりますが、神経性無食欲症になると、この病的な痩せを異常と考えないところが、まさに神経症の病気そのものなのです。したがって、体重を増やそうとは思わないし、むしろ体重を増やすことに恐怖感があります。ですから、未治療の段階で、自分が痩せていることについて深刻な危険性をもたないのが神経性無食欲症の特徴なのです。また「むちゃ食い/排出型」の人に多いのは、痩せていないと自分は人間としての価値がない、と思うのが特徴的です。神経性無食欲症の間に、定期的に大食をし、定期的に嘔吐や下剤、利尿剤、浣腸などを乱用するようになります。一方「制限型」の場合は、「むちゃ食い/排出型」のような、定期的な大食、嘔吐、下剤、利尿剤、浣腸などの乱用はありません。


神経性大食症とは

 初めに、アメリカ精神医学会(DSM-W-TR)による神経性大食症の診断基準を要約すると次の5点になります。

  • 1. 大食を繰り返す。大食の特徴は次の2つ。@大食時間として区別できる時間内に(例:1日のどこか2時間以内など)、ほとんどの人が同じような時間に同じような環境で食べる量よりも、明らかに多い食物を食べる。A大食している間は、食べることを制御できないという感覚(例:食べるのを止めることができない、または、食べる物や食べる量をコントロールできないという感じ)がある。
  • 2. 体重の増加を防ぐために、不適切な代償行為を繰り返す。例えば、自分で嘔吐する、下剤・利尿剤・浣腸、そのほかの薬物の乱用、絶食、過剰な運動など。
  • 3. 大食および不適切な代償行為は、ともに少なくとも3カ月間にわたって、平均週2回以上起こっている。
  • 4. 自己評価が、体重や体型に過剰な影響を受けている。
  • 5. 現在、神経性無食欲症の診断は満たさない。

(注:上記1〜4を満たし、同時に神経性無食欲症を満たす場合は、神経性無食欲症のうちの「むちゃ食い/排出型」という診断になる)


※[病型:◇排出型=現在の神経性大食症の間、定期的な嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸などの乱用をしたことがある。◇非排出型:現在の神経性大食症の間、絶食や過剰な運動などの不適切な代償行為をしたことがあるが、定期的な嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸などの乱用はしたことがない]


 以上の診断基準でもわかるように、神経性大食症は一見“食べたい病気”のように見えますが、実は“痩せたい病気”なのです。では、なぜ痩せたい人が大食をするかというと、食べることで自分の気持ちを麻痺させたいという感覚や、ストレスを発散させたいという気持ちの現れです。体重が標準体重の80%以上あって、この大食症状があれば神経性大食症と診断されるのです。


 ここでいう大食症状とは、単に“食べ過ぎ”とか “だらだら食い”とは違います。明らかに大食行為の始まりと終わり(多くは嘔吐)があり、それが繰り返される状態(症状)をいいます。ひとたび、大食モードに入りますと、まるで人が変わったように、またとりつかれたように食べます。大食衝動によって食べるため、自分の意志でもってどこかで止めることはまず出来ません。仮に、食べている最中に他人が入ってきて邪魔になり、一時的には止めても、その後また大食をする場合が多くなります。もともと痩せたいと思っている人が大食するわけですから、食べたあと太ってしまうと思いパニックになります。とにかく太りたくないので、大食した行為を埋め合わせるために、食べたらすぐに嘔吐をする人が多く、または下剤、利尿剤、浣腸などの代償行為をするのです。しかし実際には、この代償行為は痩せる保証にはなりません。下剤を使えば、食物が腸に留まることなくすぐに排出されて太らないと考えがちですが、実際には水分の出入りだけで、脂肪分などには影響しません。下剤を使っていると太らないだろうという見かけ上の行為に振り回され、乱用が止められない人も多くいます。


 大食症と診断されるには、大食行為が平均して週2回以上あり、それが3カ月以上続いている場合です。それと、自己評価が体重や体型に過剰に影響を受けていることです。つまり、自分の体重や体型に過剰に反応するため、痩せれば人間としての価値が上がり、太れば価値が下がると考えます。また、痩せれば活動的になり、太ると家に引きこもる人もいます。さらに、痩せたいのに大食してしまうジレンマに苛まれ、抑うつ的になる人も多いです。


 神経性大食症は2つの病型に分けられます。1つは、嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸の乱用をする「排出型」と、もう1つは排出行為をしない「非排出型」です。ただ、非排出型でも絶食や過剰な運動など不適切な行為をすることはあります。診断基準にもありますが、大食症の診断基準を満たしていても、体重が標準体重の80%未満で、かつ生理が3カ月以上続けて起きていない場合は、神経性無食欲症の〈むちゃ食い/排出型〉という診断になります。


次のページへ


初めての方へ

症状と治療方法

初めての方へ

診断チェック