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精神症状

 摂食障害における主な精神症状としては、痩せ願望、肥満恐怖、身体像の障害、病識の欠如、活動性の亢進などがあり、しばしば抑うつ気分や不安、強迫症状、失感情症などを伴います。アメリカで第二次世界大戦中に飢餓実験が行われ、健康人の食事量を減らしたところ、不眠、不安、過活動、抑うつ、気分の変わりやすさ、食事へのこだわりなどの症状を示したと言われます。これは、神経性無食欲症で体重減少の著しい時期にみられる症状とよく似ていることから、こうした症状は低体重や低栄養状態により起こるものと考えられます。


痩せ願望と肥満恐怖

 神経性無食欲症の患者さんにおいては、この痩せ願望が非常に強く、体重が標準体重以下であっても、さらに低体重を望み、治療目標体重を標準体重以下に設定することを希望しています。一方、神経性大食症の患者さんの場合は、痩せ願望はそれほど強くありませんが、強い肥満恐怖を示します。したがって標準範囲内の低めの体重を希望しており、体重増加や太ることに対しての強い不安や恐怖を持っています。 


ボディ・イメージ(身体像)の障害

 ボディ・イメージは、患者さんが自分の身体をどう見ているか、どう感じているかということです。神経性無食欲症の人は、他の人から見れば痩せていたり普通に見えても、自分では太っていると思っています。また、身体の一部である大腿部が太っている、お腹が出ている、頬がふくれていると感じたりして悩みます。ところが神経性大食症の人の場合では、神経性無食欲症から体重だけが正常に回復して過食と嘔吐が続いていると、神経性無食欲症の人と同じようなボディ・イメージの障害が認められることが多くなります。ただ、神経性無食欲症の経験のない人にとっては、ボディ・イメージの障害がないこともよくあります。


病識の欠如

神経性無食欲症の患者さんは、病気の初期から痩せを希望して努力しているので、痩せると達成感を得て、痩せている状態を病気だとは思っていません。しかし、さまざまな身体合併症が起こり体力の低下を意識するようになると、初めて身体的な病気ではないかと感じるようになります。それでもなお、神経性無食欲症に関しては、この極端な痩せが病気であるという病識は形成されていないことがほとんどです。 一方、神経性大食症の患者さんにおいては、自ら症状に苦しみ、病感をもっているとはいえ、自分が恥ずかしい、だらしない、自分がもっとしっかりしていれば止められるなどと考え、真の病識が形成されていません。しかし、病気について説明すると、病識は容易に形成されます。


抑うつ症状

 神経性無食欲症や神経性大食症の患者さんにおいては、低栄養や体重減少によって、また大食や嘔吐によって抑うつ気分や不安、強迫、性格の変化、自己嫌悪、無気力などの精神症状を引き起こすことがよくあります。そして神経性大食症の患者さんにおいては、抑うつ気分が生じると、これを解消しようとして大食になり、その後ふたたび抑うつ気分を生じるといったように、悪循環に陥ることがあります。


不安症状

 神経性無食欲症や神経性大食症の場合、体重増加や肥満に対して常に不安や恐怖が精神病理の中核にあるため、不安症状をよく生じます。神経性無食欲症の患者さんの場合は、食事の時間になると緊張や不安が高まります。神経性大食症の患者さんにおいても、大食後に体重増加に対する不安が高まります。この不安や緊張を緩和するために嘔吐をしたり下剤が使われるのです。


強迫症状

 神経性無食欲症や神経性大食症の患者さんは、食物やカロリーなどに意識が強くとらえられ、摂食制限を徹底して痩せを追求し、さらに痩せるために徹底的に運動に励むなどの強迫症状が高い確率で生じます。とくに神経性無食欲症の患者さんでは、痩せれば痩せるほど強迫症状が強くなることがわかっています。


失感情症

 失感情症とは、知性と情動の交流が遮断されて、自分の喜怒哀楽の情動に対しての気づきや表現が失われた状態です。神経性無食欲症や神経性大食症にかかる人は、この喜怒哀楽の感情や葛藤、悩みを言葉に出して言うことができません。これらの患者さんは、小さい頃から親の期待に応えようと、自分を抑えて自己主張せず“良い子”で育ち、八方美人的に振る舞いながら成長します。一見、何の問題もないように見えますが、内面的には葛藤に満ちています。しかしそれを言葉に表せないのです。これは、症状というより性格的な一面を反映しているとも考えられます。病気が重くなれば、失感情症の程度がより強くなり、会話をしても声が小さくなってきます。


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