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不登校とひきこもり

不登校とは

文部科学省では「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること(ただし、病気や経済的な理由によるものをのぞく)」で30日以上欠席した場合を不登校と定義して各種調査をおこなっている。

ひきこもりとは

厚生労働省では以下の5項目を満たす場合を「社会的ひきこもり」と定義している。

1.自宅を中心とした生活
2.就学・就労といった社会参加活動ができない・していない者
3.以上の状態が6ヵ月以上続いている
4.統合失調症などの精神病圏の疾患、または中等度以上の知的障害(IQ50〜55)をもつ者はのぞく
5.就学・就労はしていなくても、家族以外の他者(友人など)と親密な人間関係が維持されている者はのぞく


不登校・ひきこもりの問題で悩んでいる人に

まず伝えたいのは「あせらないでください」という言葉です。悩みを抱える本人はもちろん、周囲で見守っている 家族や教師も、問題の解決を急がないことが大切です。学校や職場に行かなければならない、行かせなければならな いと考えて、急ぐのはやめましょう。あせればあせるほど、精神的に追いつめられ、状況が悪化します。学校や職場 に通い続けることだけが人生ではありません。それだけに固執してあせるのはやめて、少し休みましょう。 不登校でも、ひきこもりでも、最終的に自分のやりたいことを、自分にあった方法でできるようになればいいので す。それをゆっくり探すことにしてください。

不登校・ひきこもりの原因はなにか、本人はどんなことに悩み、いまなにを考えているのか。それを理解するため のヒントをまとめました。子どもたちの心理状態は一人ひとり違いますが、彼らの心を理解するうえで参考にはなる はずです。

また、不登校・ひきこもり状態から抜け出すためのヒントも紹介しています。社会には、精神保健福祉センターや 医療機関、民間の支援団体など、さまざまな受け皿があります。家族で対話することや、それらの機関を利用するこ とが、状況を変えるための一歩になります。
不登校・ひきこもりは、人生からの脱落ではありません。自分にあった道を探すための機会ととらえて、じっくり 考えましょう。

不登校が長く続くと、ひきこもりに移行します。学校だけでなく、社会全体への不安や恐怖を抱えて、家から出ら れなくなるのです。ただし、その割合はけっして高くはありません。不登校からひきこもり状態になるのは、およそ 三割の子だといわれています。それ以外の七割の子は、なんらかの形で社会と関わっていきます。大人は子どもが不 登校になると将来を悲観しがちですが、将来はけっして暗くはないのです。また、たとえひきこもり状態になって も、周囲が本人の話をよく聞いて、対応をしていけば、改善は十分に望めます。不登校・ひきこもり状態になると、 社会との接点が減り、理想と現実のギャップが広がります。現実を体験する機会がないからです。対話や外出を増や して、経験をつむ機会をもうけ、社会復帰をサポートしましょう。ただ悲観するのではなく、行動することで、事態 は改善していきます。

不登校・ひきこもりの原因

性格のせいでも、しつけのせいでもない。子どもが学校に行けなくなることを、本人の甘えのせいにしたり、保護者のしつけのせいにしたりする人がいます。性格やしつけが不登校・ひきこもりに関係していることは事実です。しかし、それだけで家から出られなくなることはありません。ほかにもさまざまな要素がからみあっています。性格やしつけを指摘して、本人や家族に責任を負わせても、状況は改善せず、本人はますます閉じこもってしまいます。原因や責任を追及して追いこむのではなく、性格やしつけの問題点を支援することが大切です。

なにかの病気?
心の病気や体調不良で学校に行けない場合もある。話しあっても解決しない場合、その可能性も考慮する。気になったら医療機関へ
社会が悪い?
個性の時代になり、自由度が高くなって悩みも増えている。しかしそれは誰にとっても同じこと。社会や人のせいにしない
学校の対応?
学校との相性がよくない場合、居心地の悪さがひとつの要素にはなる。しかし、それは対話で解決できること。学校とはできるだけ対話を

不登校・ひきこもりと遺伝には関連がありません。兄弟二人以上がひきこもりになってしまうこともありますが、遺伝が原因ではありません。兄弟でひきこもりになる場合、生活環境の影響が考えられます。会話が少なく、立ち直るきっかけがない環境では、ひきこもりになりやすいといえます。

子供への接し方
子どもに接するときの原則のひとつが、一般論や固定観念に当てはめて考えないということです。テレビや新聞でいわれている「不登校・ひきこもり」は、あくまでも一般論です。接し方の参考にるとはかぎりません。一般論はあくまでも参考程度に考え、それよりも本人の話を聞くことを優先してください。
子どもは一人ひとり、異なった悩みを抱えています。それを理解して、先入観なしに話を聞きましょう。悩みごとを聞くとき、不登校・ひきこもりの原因を探るような聞き方をすることは、さけてください。必要なのは、悪いところを探して直そうとする人ではなく、悩みを理解して、いっしょに考えてくれる人です。心の病気や体調不良で学校に行けない場合もある。話しあっても解決しない場合、その可能性も考慮する。気になったら医療機関へ
身体疾患
ストレス性の身体症状は、不登校の子どもによくみられることです。不登校の子は学校や友達、教師などに対して悩みを抱えています。それをつのらせて、体調を崩すのです。学校や教師など、自分の悩みの種に対面すると、身体症状に襲われます。ひきこもりでは悩みの対象がはっきりしないことが多く、身体症状を訴える子は多くありません。身体症状は、体だけの問題ではありません。悩みがあるために症状が表れ、症状のせいで悩みが深まるという悪循環にはまっています。たとえ頭痛がおさまっても、悩みごとが解消されなければ、再発する恐れがあります。身体面の症状をやわらげるとともに、ストレス対策をして、心理面のケアもしましょう。

不登校・ひきこもりの背景

不登校・ひきこもりをひき起こす要素のひとつに、社会の多様化があります。社会の変化が、子どもたちの心理に影響を与えているのです。以前は、子どもは学校に通うのが当たり前、大人になったら働くのが当たり前という一般常識がありました。しかし、いまは学校以外の選択肢が増え、学校に行かなくてもいいという価値観が広く認められています。そのような時代の変化を受けて、登校しないで考えたり悩んだりできるようになりました。その変化が、不登校・ひきこもりの背景にあるといえます。

推計で100万人以上が悩んでいる
厚生労働省が年に1回、学校に関する全国調査をおこなっています。その統計によると、不登校状態になる児 童・生徒が、毎年10万人以上います。ひきこもりについては全国調査がおこなわれていないため、人数はわかりま せん。しかし、研究者の間では、推定で数十万〜百数十万人になるといわれています。不登校・ひきこもりの問題 に悩んでいる人が、推計で100万人以上いるのです。
家にひきこもっていても、家族や友達との会話があれば、状態はそれほど悪化しません。問題なのは、人と話さ ず、外出もせずに自室に閉じこもっているような生活が続いている場合です。社会との接点がないまま時間がたつ と、考え方の偏りが顕著になっていきます。本人と他人、理想と現実のギャップが広がる前に、なんらかの対応を するべきです。小中学生のうちは、行動範囲が狭く、人間関係も複雑ではないため、さほどギャップが広がりませ ん。子どものうちに対話を増やして対応するのが理想的です。高校生、大学生、社会人になっていくと、自我が確 立して人の意見を聞かなくなるため、根気よく話しあう必要が出てきます。
外出できれば大丈夫、とは言い切れない
毎日学校に通っている子どもにも、不登校・ひきこもりになる可能性はあります。話し相手がいなかったり、進路に希望をもてなかったりするまま通っていると、学校に行くことが徐々につらくなっていきます。一学期は元気だった子が、二学期に突然、閉じこもりはじめることもあるのです。行動範囲だけをみていても、不登校・ひきこもりの症状や経過は把握できません。行動・心理もよくみましょう。本人が教師や友達とコミュニケーションをとることに苦しんでいるようなら、そのサポートが必要です。
不登校・ひきこもりに悩んで医療機関を受診し、病気だと診断されることがあります
うつ病や統合失調症などにかかっていて、その症状のひとつとして不登校・ひきこもりに陥っている場合です。外出できないという点では、不登校・ひきこもりと変わりがないため、本人も周囲の人も、病気であることに気づいていないのです。不登校・ひきこもりとは問題の本質が異なる場合、不登校・ひきこもりに主眼を置かず、病気への対応が優先となります。精神疾患には、脳機能の偏りによって発病しているものが多いため、薬物療法や心理療法でその偏りを調整することをめざします。心理状態が改善して考え方の偏りがなくなってくれば、外出することへの抵抗感もやわらいでいきます。病気への対応をとることで、不登校・ひきこもりの改善がはかれるのです。
本人は何を考えているのか?
大人の価値観で子どもたちを説得すると、彼らは反発して、より一層閉じこもってしまいます。必要なのは説得ではなく、理解です。子どもがどんな価値観をもち、なにを悩んでいるか、理解しましょう。
子どもの心を理解することが第一
子どもが家に閉じこもり、あまり会話をしなくなると、家族や周囲の人は、本人の考えや悩みを理解できなくなっていきます。しかし、そこで会話をしないまま、本人の気持ちを想像したり、子どもが家に閉じこもり、あまり会話をしなくなると、家族や周囲の人は、本人の考えや悩みを理解できなくなっていきます。しかし、そこで会話をしないまま、本人の気持ちを想像したり、一般論に当てはめたりして一方的にアドバイスをすると、本人の反発を招きます。必要なのは助言ではなく、理解なのです。
保護者としての考えに当てはめない
助言をしよう、本人を立ち直らせようと考えていると、どうしても保護者自身の希望や理想を中心としたアドバイスをしがちです。直そうという意識はひとまず置いて、本人の悩みを理解しようと考えてください。本人と話すことができなければ、兄弟でもかまいません。ほかの人と相談して、子どもがどんなことに悩んでいるか、少しでもいいから理解するのです。それが子どもと対話することへの一歩になります。
登校を強要しないで待つ姿勢をみせる
本人が意欲をもてなくて悩んでいるときには、励ましたり、登校・出勤をすすめたりせず、しばらく待ちましょう。行きたくないところに無理に行かせようとしても、よい結果は出ません。といっても、ただ待ち続けても時間がすぎていくだけです。基本的には本人がやる気を出すのを待ちつつ、話しかけることも忘れないでください。学校や職場など、本人が嫌っている対象について、よい面と悪い面を具体的に挙げながら話しあいましょう。学校・職場に通う意義を見直します。よい面が理解できれば、意欲が戻ってきます。
ギャップを埋める
自宅中心の生活を放っておくと、ギャップは広がるいっぽうです。社会との接点や相談相手、実践する機会を増やして、理想と現実の間の溝を少しずつでも埋めることが必要です。それが社会復帰への一歩にもなります。
考える
どんなことをしたいか、具体的に考える。漠然とした想像をすることをやめると、目標ができる。 ・相談する家族、友達と話をする。自分がどう心配されているかがわかると、現実行動する
・小説を書く、専門学校のパンフレットを読むなど
・目標に向かって行動を起こす。自分の力を理解できる外出する
・学校以外でもかまわないので、行ける範囲で外出する。社会との接点ができる
発達の遅れがあり、自信を失っている
発達障害の子どもは、言動や考え方に偏りがあります。ほかの子どもよりも目立ちやすいため、トラブルを起こしたり、巻きこまれたりすることがあります。とくに多いのが、発達の遅れがあるために周りの子と同じように勉強やスポーツができず、自信を失ったり、からかわれてケンカをしたりすることです。学校不信になって、登校をしぶります。

周囲の理解とサポート

こういったトラブルによって不登校になっている場合、家族や教師が発達障害を理解して、周囲にその理解を求 めれば、状態は改善していきます。言動が目立ってしまう原因や、その対処法を周知することで、子ども同士の衝 突は減ります。トラブルが減れば、本人はまた学校に行けるようになります。

子どもが家に閉じこもり、あまり会話をしなくなると、家族や周囲の人は、本人の考えや悩みを理解できなく なっていきます。しかし、そこで会話をしないまま、本人の気持ちを想像したり一般論に当てはめたりして一方的 にアドバイスをすると、本人の反発を招きます。必要なのは助言ではなく、理解なのです。

助言をしよう、本人を立ち直らせようと考えていると、どうしても保護者自身の希望や理想を中心としたアドバ イスをしがちです。直そうという意識はひとまず置いて、本人の悩みを理解しようと考えてください。本人と話す ことができなければ、兄弟でもかまいません。
ほかの人と相談して、子どもがどんなことに悩んでいるか、少しでもいいから理解するのです。それが子どもと 対話することへの一歩になります。

本人が意欲をもてなくて悩んでいるときには、励ましたり登校・出勤をすすめたりせず、しばらく待ちましょ う。行きたくないところに無理に行かせようとしても、よい結果は出ません。といっても、ただ待ち続けても時間 がすぎていくだけです。基本的には本人がやる気を出すのを待ちつつ、話しかけることも忘れないでください。学 校や職場など、本人が嫌っている対象について、よい面と悪い面を具体的に挙げながら話しあいましょう。学校・ 職場に通う意義を見直します。よい面が理解できれば、意欲が戻ってきます。

目標がないわけではない
学校に通わず、アルバイトもしない日々が続くと、家族や教師は本人の将来設計に不満をもち、批判しがちです。しかし、表面上はなにもやっていないようにみえても、本人は心のなかで自分なりの夢を思い描いています。社会経験が少ないため、非現実的な夢をもつ人が多いのですが、本人にとっては大事な目標です。突飛な話だと言って否定しないで、まず希望を聞いてください。そして、希望通りの未来を実現することが難しくても、それに少しでも近づけるように、サポートをしましょう。子どもは、努力するための手助けを求めています。
ひとりで行動することへの不安を克服できない
不登校・ひきこもりに悩む本人になにがつらいのか話を聞くと、「なんとなく不安や恐怖を感じて外出できな い」と返答されることがあります。外出すると不安になり、ドキドキしたり、体調が悪くなったりするのです。不 安や恐怖の対象が本人にしかわからないため、周囲は対応に困ります。しかし、本人も自覚がない場合があり、問 いつめても必ずしも答えは出てきません。
無理して答えを探さず、相談を繰り返すなかで、理解を深めていきましょう。本人の性格や年齢などを参考にし て問題点を探り、その対策をとっていきます。
自分がわからなくなる
自分を嫌って人生を悲観し、学校にも社会にも参加しようとしない子どもがいます。保護者や友達がどんなに勇 気づけても、話を聞きません。被害妄想をつのらせて、ひとりで悲しんでいます。そのようにネガティブな子の被 害者意識をやわらげるためには、根気よく励ますことが大切です。どうせ話を聞かないからと言って、見捨てない でください。たとえ好意を悪くとられても、めげずに共感や誠意を示し続けてください。そうすることで信頼関係 が築ければ、悩みの相談にのったり、アドバイスしたりできるようになります。
昼夜逆転
小学生は1日で回復することもある昼夜逆転は、ひきこもりの人に多い現象です。不登校児では少なく、あったとしても、家族の働きかけや学習環境の変化によって、十分に改善が期待できます。登校することによって、1日で完全に改善する子もいます。問題は、ひきこもりの長期化によって生活が乱れている人です。昼夜逆転は生活リズムを崩すだけでなく、人間関係や社会的な地位をも崩していきます。あとになって気持ちを入れ替えても、すぐには生活が戻りません。生活が乱れ、心がふさぐという悪循環を断つために、少しでも早く、生活だけでも健康的なリズムに戻しましょう。
自分の部屋にある家具を壊すのはなぜ?
子どもが八つ当たりの対象として家具を選ぶのは、家具が反撃してこない、弱いものだからです。なかでも自分の家具を壊すのは、壊しても自分以外に迷惑がかからず、誰にも怒られないことがわかっているからでしょう。暴力は多くの場合、自分より弱いものに向けられます。最初は家具や道具、次に兄弟や母親という順です。その間、誰の反発も受けないでいると、さらにエスカレートして、父親や第三者に暴力をふるう場合もあります。いらだちを家具や道具にぶつけはじめたら、反抗期だ、八つ当たりだと考えて放っておかす、暴力はいけないことだと、はっきりと否定しましょう。
子供のアピール
子どもが暴力や白傷行為などのはげしい行動をとるのは、基本的には不満やいらだちの表れですが、それに加え て、苦しみのアピールという側面もあります。つらい気持ちや悩みごとを周囲にうまく伝えることができず、うっ 屈を爆発させて、ものや人に八つ当たりをするのです。叩いたり暴言を吐いたりしながら、誰かが苦しみに気づい てくれたら、とも思っています。
保護者や教師は、暴力を受け入れずに、はっきりと拒否することが大事です。そして、なぜ危ないことをするの か、その根底にあるいらだちや苦しみについて、本人の気持ちを聞くことも、同じように大切なことです。
家族の力は限界がある
自分たちの力で解決しようと考えない。
子どもが悩んでいることに責任を感じて、自分たちの力で改善しようと考える保護者がいます。子どもをサポー トするのは大切なことです。保護者が熱心に気にかけていれば、子どもはおおいに勇気づけられるでしょう。ただ し、家族だけで努力するのは得策ではありません。家族ばかりあせっても、家族関係がよくなるだけで、社会との 接点は広がっていかないからです。家族ががんばるのはもちろんですが、ほかの人にもがんばってもらいましょ う。教師、医療機関、友達などに協力してもらい、みんなで子どもの人生を支援します。

*家族
 家族は周囲の人に事情を説明したり、対応策を相談したりする。子どもの支援態勢をととのえる
*友達
 仲のよい友達ができると、状況が一気に改善する場合も。小中学生の場合、年上の人と遊ぶのもいい
*医療機関
 身体症状があったり、思考・言動の偏りが強い場合は、医療機関に相談して心身の状態を確かめる
*公的機関
 保健所や精神保健福祉センターでは、無料で相談ができたり、関係機関を紹介してもらえたりする
*民間団体
 不登校・ひきこもり対応の専門家がいる。ます民間団体を訪れ、学校や医療機関への関わり方を相談するのもいい
登校しない子供に対して
結論をあせらず、まず共感する。
「がんばりすぎないで」というメッセージとともに、もうひとつ家族向けにアドバイスしたいのが、「あせらな いで」ということ。1秒でも早く状況を改善しようと必死になってしまう保護者が、少なくありません。対策をと るのが早ければ、改善も期待できます。そう考えてがんばるのも当然でしょう。しかし、あせりは禁物です。保護 者があせって子どもへの質問や激励を繰り返すと、そのあせりが本人へのプレッシャーとなり、本人を追いつめる 結果となります。あせらず強要せず、本人のペースにあわせる姿勢が必要です。
わかってほしいという主張もこめられている
子どもが暴力や白傷行為などのはげしい行動をとるのは、基本的には不満やいらだちの表れですが、それに加え て、苦しみのアピールという側面もありますつらい気持ちや悩みごとを周囲にうまく伝えることができず、うっ屈 を爆発させて、ものや人に八つ当たりをするのです。叩いたり暴言を吐いたりしながら、誰かが苦しみに気づいて くれたら、とも思っています。保護者や教師は、暴力を受け入れずに、はっきりと拒否することが大事です。そし て、なぜ危ないことをするのか、その根底にあるいらだちや苦しみについて、本人の気持ちを聞くことも、同じよ うに大切なことです。
母子依存
家に閉じこもっていると、家族以外の人と接する機会が極端に少なくなります。教師や友達と話すことがなくなり、ほとんどの会話を家族と交わします。そうしているうちに、保護者や兄弟に依存していくことがあります。なかでも母に依存する子がとくに多く、母といっしょにいられる安心感が、子どもをますます家に閉じこもらせてしまいます。子どもは母に甘え切って幼児性を強めていきます。それを「子ども返り」と呼びます。母子二人で世界が完結しないよう、第三者が介入していく必要があります。
もっとも大切なのは家族をあせらせないこと
不登校の子どもに対して教師ができることというと、家庭訪問や保護者面談、本人との面談などが挙げられます。本人と話すことは難しく、保護者との面談で状況を把握していくのが、基本的な姿勢となるでしょう。そのときに大切なのは、家族をあせらせないこと。すぐに登校できなくても、心配はいらないのだと伝えてください。教師が勉強の遅れを指摘して保護者をせかすと、それが子どもに伝わって、より登校しにくい心境に追いこんでしまいます。登校につながるようなアドバイスができれば理想ですが、なかなかそうはいきません。刺激することより、受け入れ態勢を築き、それを伝えることを優先しましょう。待っているのだということが伝われば、それで十分です。
ひきこもり・不登校はどうなる?
閉じこもる生活が続くと、家族は将来に対して悲観的になりがちです。しかし統計によると、就学・就労のできた人や改善した人もたくさんいます。不登校・ひきこもりの子どもたちの進路を調べた統計が、いくつかあります。それらの統計によると、不登校児の将来はけっして悲観的ではありません。多くの子どもが一度、不登校状態に陥っても、その後の数年間で自分の居場所をみつけています。不登校は小さなつまずきであって、大失敗ではないのです。不登校・ひきこもり状態になったとき、その後の人生で大学に入れるか、正社員として働けるかと考えると、どうしても、厳しい道のりが想像されます。そのために将来を悲観する人がいます。もちろん、努力しだいでそれも可能ですが、大学、正社員という形にこだわるよりも、本人の性格や希望にあった道を探しましょう。そう考えることで、気持ちがだいぶ楽になります。
無理をせず、できる範囲でがんばる
家族にとってもっとも心配なことのひとつが、将来的に子どもが自立できるかどうか、という問題ではないで しょうか。以前は学歴が重視されていたため、不登校・ひきこもりからの立ち直りが困難でした。しかしいまの時 代には、学校に通わないという選択をした人の受け皿が、たくさんあります。

定時制高校や大検をへて大学に入る方法や、セカンドスクールと呼ばれるような、高校・大学以外の教育機関を 利用する方法など、さまざまな学び方があります。働き方の選択肢も増えていて、時間にしばられない仕事や、自 宅で作業できる仕事もあります。人にあわせず、自分のできる範囲でがんばればいいのです。

エスカレーター式の付属校や、保護者の希望する学校に通った子どもは、人が敷いたレールにそって歩くことに 慣れています。期待通りに努力するのは得意ですが、自分で選択をするのは苦手です。そういった子どもは、大学 を卒業して、目の前からレールがなくなったとき、パニックになってしまうことがあります。目標を失って、外出 も食事もできなくなったCくんも、絵に描いたようなエリートコースを歩んできた大学生です。努力家で、最難関 の大学に合格し、前途有望でした。しかし、大学を出て自分で進路を決めるという段階になって、なにも決断でき ない自分に気づき、その挫折感から、ひきこもりになってしまいました。
母が子どもの悩みに気づきカウンセリングヘ
最初は周囲の誰も気づきませんでしたが、出席が減ったために大学から両親に連絡がいきました。両親が下宿をたずねてみると、衰弱しきったCくんがいたのです。両親はCくんを地元に連れて帰りました。その後もひきこもっていましたが、本人は人を頼る気がなく、状態は変わりませんでした。ところが、心配した両親がクリニックに相談し、母親がカウンセリングを受けはじめると、本人も興味をもち、受診するようになりました。その結果、1年間の休学をへて、復学へとこぎつけることができました。
どんなことでもいいから一歩をふみ出す
不登校・ひきこもり状態を改善するためには、変化が必要です。変化はどんなことでもかまいません。一言でも会話を交わす、自動販売機で飲み物を買うなど、ほんの小さな一歩でいいのです。人にほめられるような、大きな変化でなくても大丈夫です。小さな目標を立てて、まず一歩、ふみ出しましょう。
つらければ休んだり戻ったりしてもいい
生活を変えて、外出や対話に慣れていくなかで、恥ずかしくなったり、つらくなったりして、家に帰りたくなることがあります。そんなときには、帰って少し休んでもかまいません。毎日毎日、進歩しなくてもいいのです。無理をするとつらい記憶が残り、チャレンジ精神や意欲が薄れます。立ち止まったり、悩んだりしながら、ゆっくり進んでいきましょう。
居場所ができると精神的に安定する
生活を変える方法のひとつは、出かけること、人とコミュニケーションをとることなど、行動を外側に広げていくやり方です。不登校・ひきこもりの人にとっては大きなチャレンジになります。そのような挑戦をするためには、帰る場所が必要です。家族の支え、安心できるスペースは、自室でも自宅でも、ほかの場所でもかまいません。
落ち着いて考えられる場所、悩みをうちあけられる相手をみつけましょう
それが状況の打破にむすびつきます。居場所ができて心が落ち着くと、外出する勇気が出てくるほかに、将来に 希望をもてるようになったり、周囲の人を信頼できるようになっていきます。
状況が全体的に好転して、心身ともによい状態になっていくのです。そうすると安心できる居場所も広がってい き、その流れが社会復帰へとつながります。
自助グループ・親の会
相談機関のなかでもっとも多様性があるのが、自助グループや親の会など、民間団体です。同じ境遇で苦しんでいる人たちが集まるため重荷がとれます。また、人の意見を参考にすることもできます。民間団体には、さまざまな形態があります。不登校・ひきこもり専門のグループだけでなく、心の問題全般、子育て相談など、活動内容はさまざまです。
それらのグループを利用するときには、数多くの組織から、白分たちにあうところを探さなければいけません。民間団体はそれぞれに対応や費用が異なるため、個別に確認しないと、希望にあうかどうか判別できないのです。

心理療法

話しあいを繰り返して改善をはかっていく

心理療法やカウンセリングは、専門家と会話をすることで不登校・ひきこもりからの回復をめざす治療法です。
本当に話をするだけなので、人によっては効果を信じない場合があります。
一度や二度、話したくらいでは効果は表れません。その段階で治を疑うのはやめてください。何度も繰り返し対話をして、考え方を少しずつ変えていくことが必要なのです。相談を繰り返しても状況が変わらなければ、心配になることもあるでしょう。しかし、担当の医師やカウンセラーを信じて、じっくりとりくんでください。

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症状と治療方法

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診断チェック