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アルコール依存症の治療方法

断酒継続のためにすべきこと

アルコール依存症になると、それ以外のさまざまなアルコール関連障害も併発するのが普通である。 回復について考える場合には、それら全体を考慮にいれておかねばならない。 とはいっても、酒を断たない限り回復は絶対にあり得ないし単に飲まないでいるというだけでも実に大変なことである。 このことさえ実行できれば治療の大半は終わったといっても過言ではないだろう。 その意味では、断酒継続を当面の目標とすべきである。そのためには、どんなことに気をつけたらよいであろうか。

@AA(アルコホーリクス・アノニマス Alcoholics Anonymous)や断酒会に出席すること
  • AAや断酒会に出席している人の方が、断酒率がはるかによいというのは、多くの研究の示すところである。 自分の悩みをわかってくれる仲間がいるところでしか、アルコールはやめられないといってよいであろう。 他人に対する批判や説教をせず、自分自身の正直な体験談が語られている会を選んで出席するようにするとよい。
A酒は飲まないと宣言すること
  • 飲まない仲間をつくることも大切だが、もう一つ忘れてならないのは、飲み友だちとは縁を切ることである。 そして、「酒好き」という評判を、「飲まない人」という定評に置き換えていく努力をすることが大事である。
B小さな成功を積み重ねること
  • はじめのうちは一日飲まないでいるということが実に大変である。 十年やめるとか、一生飲まないとかいうと、目標はいつまでも達成できず、気の休まることがない。 今日一日断酒を当面の目標にして、日々成功の喜びを味わっていくようにしたほうがよい。 最終目標は大きくもち、当面の目標は小刻みにするとよい。これは大きな仕事を成しとげる場合に、誰もがやっていることである。
C危ない場所には近寄らない
  • 昔よく飲んでいた場所や酒が飲めるところに近づくと、強い飲酒欲求が起こり、抑えきれなくなることが多い。 どれくらい飲まない力がついたか試してみるといって飲み屋街を歩いてみる人がいるが、その時点で失敗しているといってよいであろう。 何回目かに必ず飲酒してどうにもならなくなるものである。宴会もできるだけ避けた方がよい。 そのときは我慢して飲まなかったが、帰り道に飲んでしまったとか、席を外したときに、飲んでいたジュースにアルコールを入れられたとかいうことがよく起こる。
D腹を減らさないこと
  • 誰でも経験していると思うが、空腹時には飲酒欲求は強まるものである。 食事を規則的にして、腹を減らさない工夫をするとよい。また、飲みたくなった時には何か食べるようにした方がよい。
E腹を立てないこと
  • 怒りや恨みは飲酒欲求をかきたてる。腹が立つとすぐ酒に走るという、飲んでいたときの癖はそう簡単に変えられるものではない。 AAの創始者ビルは、怒りや恨みを持ち続けたままでは断酒を続けることはできないと考えていた。 飲んでいたときの自分のありのままの姿を知ると、他人に対する怒りはやわらぐものである。
F疲れすぎに気をつけること
  • 疲れたときの一杯、これも長年の間に身につけた習慣と言えよう。 断酒しようと思えば、疲れすぎないようにすることが大切である。 酒をやめてしばらくの間は、普通以上に活動的になることが多いので、押さえ気味に行動した方がよい。
G仕事につくのを急がないこと
  • アルコール依存症の治療を受け、断酒し始めた時期は、大きな手術の後と同じだと思った方が無難である。 はじめの三、四ヵ月の間は飲まないでいるだけでも大きなエネルギーが必要であり、その上に仕事もし、それ以外の生活上の問題にも対処していくのは、かなり困難なことである。 まずは何もしないでAAや断酒会に出席しながら、やめ続ける力をつけること、その後で仕事のことを考えるようにしたほうがよい。いつから仕事を始めるかについては個人差も大きいので、専門家と相談しながら決定すべきであろう。仕事についた後でも、当分は残業をやめて、夜は断酒会やAAへの出席を優先したほうがよいと思う。
H抗酒剤を服用する
  • 抗酒剤については断酒しはじめの頃には積極的に服用したほうが、精神的にも楽にやめ続けられるだろう
I定期的に通院すること
  • 断酒した後も、精神的なトラブルや家庭の問題など未解決のままに山積みになっているのが普通である。 定期的に通院して、医師やケースワーカーなどの助言を得ながら解決して行くべきである。 酒をやめて体さえよくなればそれで治ったというわけではない。
アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous)
アルコール依存症経験者が、希望を分かち合って共通する問題を解決し、ほかの人たちもアルコホリズムから回復するように手助けするための共同体のこと。

アルコール依存症 薬物治療

アルコール依存症の治療によく使われる薬に、シアナマイド(一般名シアナミド)やノックビン(一般名ジスルフィラム)などの抗酒剤がある。 この薬は酒が嫌いになる薬のように勘違いされたり、ひどい副作用があると毛嫌いされることもあり、あまり正しく理解されているとはいえない。
抗酒剤とはどんな効果のある薬であろうか。

抗酒剤の作用
現在、二種類の抗酒剤がある。 無色透明の液体のシアナマイドと、黄白色の粉末のノックビンである。

「シアナマイド」は、肥料として用いられる石灰窒素に含まれているカルシウムーシアナミドから導き出された物質である。 肥料工場の職員が酒に弱くなるところからその抗酒作用が発見された。一九一四年のことである。 シアナマイドは、肝臓でのアルコール代謝過程でアセトアルデヒドから酢酸に至る反応を触媒するアセトアルデヒド脱水素酵素の働きをブロックする。 そのため少量の飲酒でも直後に、顔面紅潮、血圧低下、心悸亢進、呼吸困難、頭痛、悪心、嘔吐、めまいなどを起こし、ひどいときには立つこともできなくなる。 これをシアナミドーアルコール反応というが、その強さはノックビンに比べて弱い。

「ノックビン」は、タイヤ工場で用いられていた薬品で、その抗酒作用については、一九四八年にヤコブセンが発表している。 シアナマイドと同じように、アルコールの代謝過程でアセトアルデヒド脱水素酵素の働きを抑える。 そのため少量の飲酒でも大量のアセトアルデヒドが血中を回ることになる。 そして、呼吸困難、心悸亢進、顔面紅潮、悪心、嘔吐、血圧低下、めまい、脱力、視力障害などを起こす。 このような反応はシアナマイドよりやや遅く、飲酒後五分から一五分後に起こる。
服用のしかた
抗酒剤がその効果を発揮するためには、服用時に体内にアルコールが入っていないことが大切である。 アルコール分が残っているときには、いくら抗酒剤を飲んでも上に述べた苦しい反応は起こらない。
ノックビンが、十分な反応を起こすためには、服薬後二一時間ぐらいは必要である。飲酒していない状態で少なくとも一週間服薬を続けた場合には、その効果は約一週間持続する。
シアナマイドは速効性があり服薬後すぐに効果を現わす。しかし、効果の持続期間は短くおよそ一日である。 飲酒をやめてからどれくらいの期間飲み続ければよいのかについては、いろいろの考え方があり、担当医と相談しながら決めればよい。 この薬は自分から進んで飲むべきである。シアナマイドを味噌汁の中に入れたりして、本人に内緒で投与するのは、お互いの信頼関係を壊し、百害あって一利なしである。
副作用
どちらもきわめて副作用の少ない薬である。 ノックビンではまれに肝障害、精神病様の症状が出ることがある。 その他胃腸障害、発疹、多発神経炎などの報告もある。シアナマイドはさらに副作用は少なく、じんましん様の発疹がたまにみられる程度である。
また、眠気や食欲不振を訴える人がいるかごく少ない。シアナマイドで発疹がひどく出る場合には、ノックビンを服用すればよい。副作用が心配だから、抗酒剤は飲みたくないという人も多いが、副作用が出現する頻度は非常に少ないし、抗酒剤の害よりもアルコールの害の方がはるかに大きいのである。
抗酒剤の心理作用
断酒生活に入った後も、再飲酒の危機は至る所にある。 しばしば激しい飲酒欲求に襲われるし、気がついたら飲んでいたというようになんの抵抗もなく飲酒してしまうことも多い。 抗酒剤を服用していれば、これでアルコールを飲んだら苦しくなるということがわかっているので、強い飲酒欲求に見舞われることは少なくなる。 たとえ飲みたいと思っても、反応の苦しさを考えると酒に手を出す気にはならない。 そのため、飲酒欲求に耐えて、いらいらすることもなく、比較的気楽に断酒生活を送ることができるのである。 また、たとえ飲むことがあってもごく少量でおさまってしまう。抗酒剤を自分から進んで飲むと、家族に対してもいい影響を与えることができる。
シアナマイドの場合だと、これで今日一日は飲まないだろうと、家族も大いに安心する。 そうすると自分が不信や疑いの目でみられることも少なく、家族の態度にいらいらしたり、腹を立てたりすることもなくなってくる。 家族に対しては、今まで何回も裏切ってきているので、「もう酒は飲まない」などという言葉はなんの効き目もない。 抗酒剤を服用するという行動の方がはるかに説得力がある。
抗酒剤の限界
抗酒剤の服用は、アルコール依存症の治療のごく一部であることはよく理解しておくべきである。
アルコール依存症の治療には、治療を受ける気持に至るまでの動機づけ、離脱症状の治療、身体合併症の治療、断酒にふみ出すのを助けるための教育や精神療法、心理的問題や人間関係の問題の整理、家族療法、断酒継続のための援助、自助集団への出席などしなければならないことが多くある。 その中で抗酒剤は断酒継続のために補助的に使う薬である。
いくらこの薬を飲んだからといって、孤独感や、家族に対する恨みなどがなくなるわけではない。
抗酒剤を飲まない人へ
この薬を飲もうとしない人には二つのタイプがあるようである。一つは、酒をやめる気のない人である。
入院中のように強制的に服用させられるような場合には、いろいろの方法で服用したふりをすることが多い。 こういう人は、教育や集団療法、個人精神療法などを受けて、自分がなぜ酒をやめなければならないかを理解することが先決である。

もう一つは、断酒するために抗酒剤はいらないと考えている人たちである。
AAや断酒会によく出席することによって、気楽に断酒ができており、なにも抗酒剤に頼らなくてもと思うのである。 このような場合にはあえて抗酒剤を飲む必要はないかもしれない。 しかし、再飲酒の危険はどこにあるかわからず、抗酒剤を飲んでいたら、防げたと思われるような失敗のために再入院する場介もあることは頭に入れておくべきである。 抗酒剤は酒が嫌いになる薬ではない。肝臓でのアルコールの代謝過程をブロックして、飲酒時に苦しい反応を起こさせるものである。 断酒を決意した者が、その継続のために補助的に使うときに効果を発揮する。 こういうわけで、抗酒剤を過大評価するのはよくないが、正しく用いればその効用は大きく、特に断酒し始めの間は大いに利用することをお勧めしたい。
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