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パニック障害

はじめに

パニック障害は、ある日突然理由もなくめまいや心悸亢進(動悸)、呼吸困難の症状と共に激しい不安・恐怖が発作的に起こる病気です。そして、現実が現実でないように感じたり、気が狂ってとんでもないことになるのではないか、死んでしまうのではないかといった強い不安感や恐怖感を感じる病気です。このような身体症状をさまざまに出現させるパニック発作を繰り返すのが特徴です。

通常、発作は10分以内でピークに達し、数十分から1時間くらいで自然と治まります。したがって、救急車で病院に運ばれ通常の診断を受けても、特に異常はなく、医師から「どこも悪くないですよ」「気にしすぎでは?」などと言われるだけで、適切な処置もしてもらえずに帰されてしまうケースがあります。仮に診断されても、自律神経失調症か心臓神経症、または過換気症候群、気管支ぜんそく、メニエール症候群、狭心症など身体的な症状が前面にでるので、心臓や消化器、呼吸器の病気などと間違えられて適切な治療がされていないことが多いのです。

なぜ間違われるかというと、パニック発作の症状が循環器系や消化器系、呼吸器系のほかに、自律神経系などの身体症状を伴うのが一因です。プライマリケアや救急医療の現場でも、精神科や心療内科を専門とするドクターでない限り、この病気に対する医療者側の理解が十分でないことも上げられます。 一方、患者さんにおいても、症状そのものが身体的であるために、最初に内科を受診するのが一般的なケースです。後ほど原因や病態生理のところでも述べますが、パニック障害が起こる原因は脳の機能異常(生物学的原因)によるものであって、身体疾患が原因で発症する病気でないということをまず理解する必要があります。

また、パニック障害の特異な点として、病気の経過と共に、性質が違ういくつかの症状を進展させます。発症の初期は、突然起こるパニック発作が症状の中心ですが、発作を繰り返すうちに「また同じような発作が起きたらどうしよう」という"予期不安"が強くなってきます。これと平行して、初期に外出先で発作を経験したりすると、発作が起きそうになった時に逃げられないような場所に行くことを避けようとする恐怖を感じます。このような外出恐怖や乗物恐怖などのような"広場恐怖"も強くなってきます。

こうした"予期不安"や"広場恐怖"が日常的に不安や緊張を高め、それがまたパニック発作を起こしやすくしている要因で悪循環にもなっています。 パニック障害が慢性化してくると、約半数はうつ病を合併してきます。うつ病でも「パニック性不安うつ病」や「双極性障害U型」になることも多く、さらに「自律神経失調症」の症状が続くこともあります。つまり、弱い発作が常に起きている状態の中で、強い発作が繰り返して起こるため、生活のさまざまな面においてQOL(クォリティー・オブ・ライフ:生活の質的レベル)の低下はうつ病よりも著しいとも言われています。

パニック障害自体は、そう珍しい病気ではなく、また命に関わる病気ではありません。発病早期の段階で専門医の診療を受ければ、治りやすい病気ですので、少しでもおかしいなと思ったり疑問があったら精神科や心療内科などで相談することです。

症状

パニック障害の一般的な症状には次のようなものがあります。

  • 1.心悸亢進といって心臓がドキドキする、体の全体がドキンドキンという、心臓をギュッと掴まれたような感じ、喉から心臓が飛び出しそうな感じ。
  • 2.呼吸困難では、息苦しい、呼吸が早くなる、空気が薄く感じる、息の吸い方吐き方がわからない、狭いところに閉じ込められた感じ、喉がえずくなど。
  • 3.めまいでは、ふらつく感じ、頭が軽くなる、頭の血管がプツンとした感じ、頭を後ろに引っ張られるような感じ、頭から血が抜けていくような感じ。
  • 4.腹部の不快感では、お腹がグニャグニャして変な感じ、胃がギュッと引っ張り上げられる感じ。
  • 5.非現実感(離人感)では、自分が自分でない感じ、自分をもう一人の自分が見ている感じ、頭に霞がかかっている感じ、ベールをかぶっている感じ、雲の上を歩いている感じ。
  • 6.その他、汗をかく、身体や手足の震え、吐き気、胸の痛み、常軌を逸する感覚、気が狂う感じ、死ぬのではないかという恐れ、しびれ感、うずき感、寒気、ほてりなど。

ここに挙げた症状で一貫していることは、常に激しい「不安感」や「恐怖感」があることです。その不安というのは「いても立ってもいられない」「大声で叫びたくなる」「走り出したくなる」「どうしようも出来ない」といったような不安で、心の底からわき起こってくる感じです。

パニック発作の症状の起こり方には三つのケースがあります。1つは、突然に起こるケース(場所や状況に関係なく、不意に起こる発作)。2つ目は、ある場所や状況に限って起こるケース(恐怖感や緊張感を感じるような場所や状況におかれたときに起こる発作)。3つ目は上記の二つの中間にあって、ある状況のもとで起こりやすいケース(発作は必ず起こるわけではなく、他の症状と合併して起こる可能性もある)。

パニック発作の起こりやすい場所や状況とは、次のような場合です。乗り物の中(電車・バス・飛行機・渋滞中の車など)、狭い空間(エレベーター・トンネルの中など)、人込みの中(デパート・スーパー・雑踏の中)、公の場(病院や銀行の待ち時間、歯科医院、美容室や式典の会場など)、一人の時(風呂に入っている時や夜間の散歩、知らない町中など、誰にも助けを求められない状況のとき)は、緊張をしたり不安を感じやすいために、発作が起こりやすくなります。また、夜間や就寝中にも突然発作が起きて、目を覚ますこともあります。






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