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治療に要する期間と回復率

 一般的には、薬物治療と認知行動療法、行動療法、アサーショントレーニング、EMDRなどを組み合わせて約1年間の治療をおこなうと、およそ80%の方が治癒(発病前の状態に戻る)します。

 社交不安障害で、長年にわたって悩んでいる人も多いです。若い人でも数年以上、中高年ですと30〜40年以上の人もいますが、そんな方でも、SSRIを中心にした薬物療法と認知行動療法的な治療で多くの方が改善しています。また、長期間悩んでいた方の2割前後の方は、数カ月程度の治療ですっかり症状がとれ、人生が変わったといって喜ばれる人もいます。

 ただし薬物療法に取り組む過程で、薬の効果が出るまでにはある程度の時間がかかります。とくにSSRIなどの抗うつ薬は、効果を実感するまでに2〜3週間かかることがありますので、飲んですぐに効果がでなかったからといってがっかりすることはありません。また、不安症状に対して薬を処方する場合、最初は少量から始めて、経過をみながら次第に量を増やしていくことがよくあります。それは、患者の病状が悪いから増やすのではなくて、薬が体内に吸収したり排泄したりするスピードや血中の薬の濃度、その薬が脳の神経にどれくらい届くかなどは個人差が大きいため、同じような症状の方に同じ薬を使用するにしても、効果を上げるためには人によってみな量は違うということです。

 それと、症状が改善したからといって、すぐに薬をやめてしまわないことです。とくに自分の判断で勝手に飲むのをやめることはよくありません。もちろん人によって異なりますが、薬物療法の場合は再び症状が出てくる可能性が高くなります。再発をできるだけ起こさないためにも、症状が改善してから1年ぐらいは薬を飲み続けたほうが安全です。一方、SSRIの治療では薬の効き過ぎにも注意が必要です。いずれにしても、副作用のことなどを含め、疑問や心配事があったら自分だけで判断せず、医師に相談や質問をして、適切な薬の使い方をみにつけ、あせらずに治療に取り組むことが大切です。




※参考文献

  • ・ 『カプラン臨床精神医学テキスト』(メディカル・サイエンス・インターナショナル刊)
  • ・ 『DSM-W-TR精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院刊)
  • ・ 『専門医をめざす人の精神医学〈第2版〉』(精神医学講座担当者会議/医学書院刊)
  • ・ 『社交不安障害』(水島広子著/創元社刊)
  • ・ 『社会不安障害(あがり症・対人恐怖)』(田島治著/筑摩書房刊)
  • ・ 『社交不安障害』(マーチン・M・アントニー、カレン・ロワ著/鈴木伸一監訳/金剛出版刊)
  • ・ 『社会不安障害(あがり症・対人恐怖)治療のストラテジー』(小山司編著/先端医学社刊)
  • ・ 『臨床精神薬理』Vol.13,No.4(星和書店刊)
  • ・ 『知らなかった社会不安障害(あがり症・対人恐怖)という病気』(磯辺潮著/講談社刊)
  • ・ 『社会不安障害(あがり症・対人恐怖)のすべてがわかる本』(貝谷久宣著/講談社刊)
  • ・ 『不安症を治す』(大野裕著/幻冬舎刊)
  • ・ 『専門医に学ぶこころのケア』(久保木富房編集/メジカルビユー社刊)
  • ・ 『不安と葛藤』(田代信維著/九州大学出版会刊)
  • ・ 『不安障害がよくわかる本』(福西勇夫監修/主婦と生活社刊)
  • ・ 『よくわかる社会不安障害(あがり症・対人恐怖)』(山田和夫/主婦の友社刊)
  • ・ 『外来診療のご案内』(前田雅春/前田クリニック刊)








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