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非定型・新型うつ病

従来型の典型的なうつ病というのは気分が沈んで何事に対しても興味関心がなくなり、そんな自分を責めてばかりいるといったイメージです。 ちょっと難しい用語ですが、この従来型のうつ病をメランコリー親和型うつ病といったりします。
メランコリーとは「憂うつ」という意味ですが、秩序を愛し、几帳面で仕事熱心、対人関係では律儀で誠実、他者への配慮が厚く、責任感が強いといった特徴を兼ね備えた性格の人が、うつ病を発症しやすいと考えられていました。
ところが、最近にわかに増えてきたニュータイプのうつ病は、これまでのうつ病のイメージにはあてはまらない、うつ病あるいはうつ状態です。
新しいタイプのうつ病の特徴として、20〜30代を中心に「職場ではつらいと感じるけれど、帰宅後や会社や学校へ行かなくていい休日は、自分の好きな趣味などに没頭でき、活動的になる」、「やりがいのある仕事に巡り合えなくて、自分を不運だと思っている」、「うまくいかないことがあると、身近な人間や会社のせいにする」、「うつで休職することに対し、あまり抵抗感がない」、「ちょっとした他人の言動に過敏に反応し、落ち込んだりイライラしやすい」といった患者さんが増えています。
そこで便宜上、典型的な症状が見られる従来型のうつと区別して新型うつなどと呼ばれるようになりました。

最近急増している非定型うつ病・新型うつ病とは?

怠けているだけ・甘えているだけと受け止められるうつ病
最近急増している(うつ病外来の30%が非定型・新型うつ病)、従来とは症状がかなり異なり、気分反応性(自分が楽しいことや、興味のあること、親しい友人と会うことや、映画やパチンコに行ったりするときは非常に気分がよくなる現象)があるため、周囲からは単に怠けているだけ、甘えているだけにしか見えない全く新しいタイプのうつ病です。 周囲の人間が一番対応に苦慮するのもこのタイプのうつ病の特徴ですが、MAOI(モノアミン酸化酵素阻害剤)が症状を劇的に緩和することから、セロトニンやノルアドレナリン系の異常があることは間違いなく、単に『甘えているだけ』、『怠けているだけ』ではなく、本人はかなり苦しんでいることがほとんどです。
若い女性に多く、過眠・過食
20〜30代の若い女性に多く、体が鉛のように重く、日常生活、学業的状況、職業的状況に著しい支障を来たします。1日10時間以上眠ることが多く、日中はかなりの眠気が出ます。 食欲は増加することが多く、短期間の間で体重が急に増加します。
激しい感情の変化
ささいなことでイライラしたり、クヨクヨしたり、1日のうちで気分が激しく変動します。 例えば、職場の同僚とおしゃべりしたり、食事をしたりしている時は普通に楽しく過ごせているのですが、上司から「最近、仕事が遅いぞ」と云われたり、子供の担任の先生から「友達とトラブルがありました」という連絡を受けたりしたとき、自分が責められているという感覚を持ってしまい、ささいな一言で激しく落ち込みます。 また、自分一人で落ち込むだけでなく、子供や夫にあたって、怒鳴り散らしたり物を投げつけたりするケースもあります。
他人の目を気にする性格
他人からどう見られるかを気にし、他人の顔色をうかがう性格傾向がみられます。 つねに相手の言うことを尊重し、従うため、小さいときから「いい子」と言われていた人が多いのも特徴です。 根底には、他者の評価が気になってしかたがない、といった不安があり、子どものころから人見知りがあったり、人前であがりやすいなど対人恐怖的な傾向もみられます。
他人を責めることが多い
従来のうつ病は何かあると自分を責めることが多いのですが、非定型・新型では自分がうまくいかないのは周りが悪いという他責傾向があり、また自分がうつ病であるということを強く主張する傾向にあります。 しかし、本人はかなり苦しんでいることが多く、自殺を繰り返す症例もかなりの頻度で見られます。
育った環境も関係しています
児童期や思春期に親を亡くすといった、早期の喪失・離別を体験していたり、子どものころに虐待された、あるいは養育者から充分に愛情を注がれなかった体験を持っている場合も多いようです。 また、たとえば教室で別の子どもがしかられているのを見て怖かったとか、電車の中で人がけんかしているのを見て恐怖や不安を覚えたなど、周囲の人の体験に怖い思いをした人にも多くみられます。
昼夜逆転など生体リズムの乱れが起こりやすくなります
私たちの体には、およそ25時間で一巡する生体リズムがあります。 このリズムが正常に刻まれていると、朝明るくなると目覚め、暗くなると眠くなるのが普通です。 ところが非定型うつ病の場合、生体リズムに乱れが生じ、昼間遅くまで眠っていて、そのぶん夜目覚めている昼夜逆転が生じやすくなります。 このタイプのうつでは「鉛様まひ」といって、手足に重りがついたように体が重く、ぐったりとした身体感覚を持つことが多くなりますが、これも生体リズムの乱れで、昼間覚醒できないために起こると考えられます。
生活リズムを整え、目的を持って生活することが大切です
生活のリズムを乱れたままにしておくと、憂うつ、イライラなどの気分や、体の重さといった症状がますます悪化してしまいます。 規則正しい生活を心がけることが重要です。 また定型うつ病では休養をとることが肝心ですが、非定型うつ病では、昼間は目的を持って活動することが、リズムの乱れを改善するために大切です。
非定型うつ病対処方法
可能な場合はなるべく仕事に行く。 仕事に行ける場合には、多少つらくても時間どおり会社に出かけたり、仕事に取り組むことも必要です。やらなければいけないことがあり、それに取り組むことが、精神の覚醒を促すため、体内リズムを正常にしてくれるのです。 好きなことだけやっていると、睡眠・覚醒のリズムが暴走し、逆効果になります。
毎日目標を持って生きる
朝起きたら、「今日はこれをしよう」「何かをやり遂げよう」と、その日の目標を持って、毎日を生きることが大切です。 「この本を読もう」など簡単なことでかまいません。 「何かをしないといけない」と自分自身で自覚を持つことが、昼間の覚醒を促し、生活リズムを整えるのに役立ちます。
規則正しい生活をする
朝はきちんと起き、三度の食事を食べ、夜は12時前には寝る。 そうした規則正しい生活を心がけましょう。私たちの体内リズムは、朝起きて光を浴びることで調整されます。 目に光が入ると、脳の松果体から出るメラトニンという睡眠物質の分泌が抑制され、睡眠がリセットされます。これによって、一日24時間でサイクルする体のリズムが整うのです。
掃除や片づけなど、整理整頓を心がける
体を動かす方法としては、掃除や片づけなどもおすすめです。 適度な運動になるだけでなく、「今日は机の片づけをする」ということが、その日の目標になってリズム調整に役立ちます。きれいになると達成感もあります。 さらに体を動かす姿を周囲の人に見られると安心し、感謝されることで人間関係の改善にもなり気分がよくなります。
外に出てウォーキングなどで汗を流す
1日1回は外に出て、光を浴び、散歩をするなど体を動かすようにします。 ウォーキングなどの軽い有酸素運動をすると、それによって脳では気分を安定させる脳内物質の分泌が増え、気持ちが楽になります。
うつ病のタイプによって接し方が違います
普通のうつ病(定型うつ病)では、とにかくゆっくりと体を休め、休養をとることが必要。 周囲の人が「がんばれ」と言葉をかけたり、励ますと、本人が自分自身を追い込んでしまうため、よくありません。 逆に非定型うつ病の場合は、少し励ますことがかえって本人のためになります。決まった時間に起きて会社に行く。その日の課題をやり遂げさせる。かける言葉はやさしくても、心は厳しく持ちながら、本人の気力を奮い立たせるように接することが大切です。 また、普通のうつ病が多くの場合、絶望感によって自殺を企てる(とくに重症期を過ぎて行動を起こす元気が出はじめたときに)危険があるのに対し、非定型うつ病では、周囲の人に助けを求めるサインとして、衝動的に自殺を企てるおそれがあります。 不安や焦燥感が強いときは、しっかり見守ることが大切です。

新型うつ病に対する対応

新型うつ病の患者さんたちは、周囲の人の言葉に敏感に反応します。 そして被害的に受け取りやすく「(自分は悪くなく)周囲が悪い」と攻撃的になります。
うつの急性期においては、従来型うつと同様に本人の話に耳を傾け理解に努め、無理をしないよう保護的に関わるのはいいと思います。 しかしその対応をいつまでも続けていると、新型うつ病の患者さんは安住してしまい、先へ踏み出せなくなってしまうことがあります。
これは現実逃避傾向が強いからです。
急性期を過ぎたら、自立を促すために本人と適度な心理的距離をとりながら、本人ができることは本人にしてもらい、達成できればそれに対して評価する(ほめる、育てる)という対処方法が、比較的効果があるように思います。 小さな成功体験の積み重ねが自信へと繋がります。
逆に、一方的で命令調な物言いや、マイナス面を指摘するようなやり方は、強い拒否反応を生むばかりか、事態をますます悪化させるので要注意です。 遅刻や欠勤、その他問題行動がくりかえされるようであれば、就業規則などに照らして、客観的に会社側の対応内容を伝えることです。 言行不一致にならないよう、組織としての一貫した対応が必要です。

タイプ別新型うつ病の解説
新型うつ病は、社会文化的うつ病

非定型うつ病治療

薬物治療と認知行動療法やアサーショントレーニング、EMDRなどの心理療法を組み合わせることで、高い治療効果を得ることができます

非定型うつ病心理療法
ものの考え方・感じ方・捉え方(認知)の歪みを訂正していき、認知の変化により感情・思考・行動の変化をもたらす認知行動療法が行われます。対人関係において、自分の主張をうまく表現して、人間関係を円滑にしていくアサーショントレーニング人間関係療法も行われます。 また、眼球の動きを利用した新しい治療であるEMDRも併用されます。その他、リラクセーショントレーニングも併用されます。

非定型うつ病薬物治療
通常の抗うつ薬が効きにくく、気分安定薬(リーマス・デパケン・テグレトール)による強化療法の併用や、NaSSA(レメロン・リフレックス)セロトニン1aアゴニスト(タンドスピロン-セティール)などの新薬の併用、またクロナゼパム(リボトリール・ランドセン)二環系抗うつ薬(レスリン・デジレル)を使用しますが、薬剤に対する反応が悪く治療には長期間を要することが多いのが現状です。 アメリカではMAOI(モノアミン酸化酵素阻害剤)を投与して劇的な効果を出していますが、残念ながらこの治療薬は日本では承認されておらず使用できません。

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