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うつ病をひき起こす主な誘因・原因

身体的な病気が原因に

 うつ病は心の病気ですが、体の病気が原因でうつ病を引き起こすことがあり、これを「身体因性うつ病」といいます。中でも、がん・糖尿病・高血圧などの病気がうつ病を誘発しやすいといわれ、脳や神経の障害もうつ病を引き起こすことがあります。病気になったというショックで気分が落ち込むことも原因ですが、内分泌や代謝などの生物学的要因も関係しています。体の病気が改善すれば、うつ病も改善する事が多いですが、中にはうつ状態がひどくて薬が飲めなかったり、意欲を喪失して治療を受けようとしなかったりするケースもあります。体の病気とうつ病を併発している場合は、内科医や精神科医が連携して治療にあたる必要があります。

 体の病気だと思って検査を受けたら、うつ病が発見されたり、うつ病の陰に体の病気が隠れていたりすることがあります。どちらの病気も見逃さないように十分なチェックが必要です。うつ病を誘発しやすい体の病気としては次のような疾患が挙げられます。

《がん》

 各種のがん(悪性腫瘍)が原因でうつ病になるケースは少なくなく、患者の25%にも及ぶという報告もあります。がん治療は最近かなり進歩してきて、治る確率も高くはなってきているものの、まだまだ死と結びつけて考える人も多くいます。がんと診断されただけで、気分が落ち込み、不安や絶望感に苛まれ、また激しい痛みに襲われたりし、がんによる代謝障害なども関係して、うつ状態からうつ病を発症する場合がよくあります。

《糖尿病》

 糖尿病の患者が、うつ状態やうつ病になるケースもよくあります。糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの量が減少して起こる病気で、このホルモンの分泌異常がうつ病を引き起こすと考えられています。また、慢性膵炎など膵臓の病気が原因でうつ病を発症したケースも伝えられています。糖尿病になったという精神的なショックが、憂うつ気分になっていることもあります。糖尿病の治療は、血糖値のコントロールが重要ですが、うつ病になると治療への意欲や気力が低下するため、糖尿病の治療に影響を与えることも考えられます。また、糖尿病の人がうつ病を併発すると、糖尿病が悪化することが多いですが、うつ病の治療で抗うつ薬を使用すると、抑うつ感や不安、焦燥感などが取り除かれて、糖尿病に対する治療意欲が湧き、糖尿病そのものが改善される場合があります。

《高血圧》

 高血圧症になる原因には、体質や加齢などがあるほか、ストレスも引き金になっています。このストレスがうつ病の誘因になります。降圧剤を服用すると、その副作用としてうつ状態になることがあります。一方、抗うつ薬には血圧を下げる作用があります。抗うつ薬を止めても高血圧が悪化することはなく、むしろ降圧剤が不要になったりするなど、少量の薬で血圧をコントロールできるようになることもあります。

《無症候性脳梗塞》

 無症候性脳梗塞とは、脳の血管が梗塞しているにも拘らず、脳梗塞の症状が現れていないものを言いますが、この無症候性脳梗塞がうつ病を併発することがあります。これは、うつ病と診断された高齢者の脳をMRIで画像診断すると、無症候性脳梗塞を起こしている例が、予想以上に多いということです。

《その他の病気》

 肝炎になることもあり、アルコールの飲み過ぎで肝障害を起こした後に、うつ病を発症する事があります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ストレスが原因で起こる病気ですので、うつ病を合併することがよくあることです。また、甲状腺機能亢進症(バセドー病)や甲状腺機能低下症などは、情緒を不安定にするためうつ病を併発することがあります。心筋梗塞や脳血管性障害は、生死にかかわる病気だけに、うつ状態に陥ってうつ病を引き起こす場合があります。パーキンソン病や全身エリテマトーデス、リウマチ、通風などにおいてもうつ状態になることがあります。

《ホルモン分泌の変化》

 男性よりも女性にうつ病が多く見られるのは、女性ホルモンが影響しています。女性は、月経、妊娠、出産、閉経、更年期などを通じて、ホルモンバランスが大きく変化します。月経前になると、女性の5人に1人は心身において不快な状態になり、不安や憂うつな気分になります。これは黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響と見られます。妊娠すると、憂うつや不安になったり、意欲が低下したりしてうつ状態になることがあります。出産においては、出産直後10〜50%の女性において、不眠やうつ状態になり、涙もろくなったりするマタニティーブルーの状態になって、うつ病になる人も中にはあります。女性特有の更年期になると、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下し、ホルモンバランスが崩れ、心身にさまざまな症状が出ます。心理的、社会的な要因とからんで、うつ病を発症しやすくなります。

《季節の変化》

 冬になると、決まってうつ状態になる人がいます。このように特定の季節にのみ発症するうつ病を「季節性うつ病」といいます。脳の中でつくられるメラトニンという物質は、光によって分泌量が異なります。メラトニンは睡眠や覚醒、生体のリズムを調整する働きがあるが、冬場の日照不足によって分泌量が変化します。メラトニンの減少が心の状態に影響して、うつ病を引き起こすことも考えられます。

◎誘因としてのきっかけ

 うつ病になるには、何らかのきっかけ(誘因)が必ずといってよいほどあります。ひと言でいうと「生活上の変化」です。近親者の死亡、家庭の不和、引っ越し、退職、失業など、心理的および環境的な変化がうつ病のきっかけになっています。男性であれば仕事にかかわること、女性であれば結婚や離婚、子供の教育や自立、家庭や家族のことなどです。高齢者になると、自分や家族の病気、配偶者や友人との死別などです。うつ病のきっかけは「対象喪失」が多いですが、逆に獲得状況においてもきっかけになります。結婚、妊娠、出産、昇進、栄転、子供の結婚、マイホームの完成など、幸運な出来事がうつ病のきっかけになることがあります。うつ病のきっかけ(誘因)となる出来事は以下のような場合です。

  • 喪失体験(配偶者の死亡、近親者の死亡など)
  • 健康上の問題(病気、事故、妊娠、出産、流産など)
  • 家族や家庭の問題(家庭内の葛藤・不和・緊張、子供の結婚や自立、受験など)
  • 結婚問題(結婚、離婚、別居、愛情関係のもつれなど)
  • 環境の変化(家の新築や引っ越し、旅行など)
  • 仕事上の問題(就職、昇進、栄転、左遷、転勤、退職、失業、単身赴任、仕事上の失敗など)
  • 経済的問題(事業の失敗、投資の失敗など)
  • 社会的状況の変化(高齢化社会、長寿社会、核家族化、経済不況、価値観の変化、世代ギャップなど)




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