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身体症状

 うつ病というと、どうしても精神面の症状だけに目を向けがちですが、精神症状と合わせて身体的な症状もかなり強く出ることを知っておく必要があります。場合によっては身体症状だけで苦しむ患者も多く見受けられます。具体的に主な症状を挙げると、睡眠障害、食欲の低下、疲労感、性欲の低下、耳鳴り、めまい、微熱、息切れ、動悸、手足のしびれ、頭痛など多岐にわたって身体症状が現れます。

睡眠障害

 うつ病の身体症状として、ほとんどの患者に現れるのが睡眠障害です。睡眠障害には、寝つきが悪い「入眠障害」、夜間に何度も目が覚めて熟睡できない「中途覚醒」、朝早く目が覚めて眠れなくなる「早朝覚醒」などのタイプがあります。中には、まれに日中寝てばかりいて、1日十数時間も眠ってしまう「過眠」になる人もいます。中高年のうつ病の場合は、寝つきが悪く朝も早く目が覚めてしまう「入眠障害」と「早朝覚醒」のタイプがよく見られます。

 この「中途覚醒」と「早朝覚醒」というのは、夜間に目が覚めたり、また早朝といっても3時や4時といった真夜中に目が覚めたりしてしまうために十分な睡眠が得られません。もう一度眠ろうとしても、なかなか寝つけず、体もだるくなり、不安な気持ちで仕事のことや日ごろ気になっている事などをあれこれ考え始めます。いわゆるマイナス思考に陥って堂々巡りし、悶々とします。また悪夢にうなされることもよくあります。眠れないまま床に入っていると、不安感、焦燥感、悲観、無力感、絶望感、苦悶感、恐怖などに襲われます。また、強い動悸、胸部への圧迫感、絶え間のない尿意、イライラ感、冷や汗などの身体的な症状も伴います。そして、布団から出なければいけないと思っても思うように体が動かず、なかなか起きられません。どうにか起きることができても、朝の気分は最悪で、朝刊を読むのも億劫になり、テレビをみる気にもなりません。遅刻や欠勤も多くなります。

 この睡眠障害の不快感は、患者本人でなければ解らない深刻なもので、「苦しい不安な一夜がまた始まる」という思いです。まさに不眠状態というのは、じっとしていられない地獄の夜なのです。本来、睡眠というのは、「脳を休める」「体を休める」ための行動ですが、うつ病ではこれらの重要な休息すら取れなくなってしまうため、結果的に自殺願望(希死念慮)を強めることもあります。うつ病の人の自殺は、時間帯として朝が多く、これは早朝覚醒や日内変動とも深く関連しているものと思われます。日内変動とは、一般的にうつ病の場合、朝は極度に調子が悪く、午後から徐々に調子が良くなり、夕方から夜にかけて調子が上がってくる傾向のことです。いずれにしても睡眠障害の治療は非常に重要なポイントとなります。

食欲不振

 食欲の低下も、うつ病の患者によく見られる症状です。食欲が低下した患者は、「何を食べても味がしない」「今まで好きだったものが、美味しく食べられない」とか、また「何を食べてもまずい、砂を噛んでいるようだ」「食べないといけないと思うから、無理に食べ物を口に押し込んでいる」といった訴えが多くなります。味覚そのものの変化による場合と同時に、消化器機能の低下が食欲不振を招いている大きな要因です。

 食欲が低下するために、急激に体重が減少することも少なくありません。これが若い女性の場合、体重が急激に減ったことが摂食障害ではないか、拒食症ではないかと勘違いして受診される人もいます。よく話を聞くと、決して意識的にダイエットして体重を落としているのではなく、うつ病による食欲不振が体重を減らしている原因であることがあります。なかには、1カ月に4kgや5kgも体重を減少する人もいます。しかし、症状が進むにつれて体を動かさなくなるため、ほとんど食べていないにも関わらず体重が増加する場合もあります。時には、食欲が旺盛になる過食の状態となって、体重が激増するケースもあります。これは、食べたり飲んだりすることによって、不安やイライラを紛らわそうとするもので、甘いケーキやスナック菓子など、限られた食べ物ばかりを大量に食べる傾向があります。そうかと思えば、お酒ばかりを飲んでアルコール依存症になる人もいます。

疲労感

 うつ病は、どうしても心身ともにエネルギーが低下している状態にあるので、疲労感や全身倦怠感を訴えることが多くなります。ちょっとしたことですぐに疲れ、何をするにも億劫で意欲もなく、常にだるさを訴える状態は生命力やエネルギーの停滞や枯渇そのものです。気力が減退すると、何をする気にもならず、洋服を着るといった日常的なことでもおっくうになります。本人は頑張っているのに、まったく能率も上がらず労働生産性が落ちて、日常生活もままならなくなります。

体調不良

 このほか消化器系、循環器系、呼吸器系など体のさまざまな部位に不調を訴えることがあります。便秘になることが多く、下痢に悩まされるケースもあります。局所的な症状としては、神経系では頭痛、めまい、しびれなどがあり、特に頭痛は筋緊張性の頭痛が多く見られ、不安などからくる緊張と考えられます。このほか筋緊張性の痛みとしては、肩こり、腰痛、背部痛、胸筋痛などが見られます。また、めまいやしびれは、自律神経失調症性のものが多く、血流障害も合併して症状がひどくなります。動悸、息切れ、口渇、耳鳴り、冷え性、のぼせ、目のかすみ、微熱なども自律神経失調症の症状です。うつになると、精神面だけでなく身体面のバランスを崩すため、自律神経の失調が原因で起こる症状がよく見られます。このほか、泌尿器や生殖器の症状としては、頻尿、排尿困難、残尿感などがあり、女性では生理不順も見られます。性欲の低下も顕著で、異性に対する関心がなくなってきます。男性であれば勃起障害や射精不能などをきたすこともあり、性機能障害(ED)や男性更年期(LOH)を疑って泌尿器科を受診して、そこで初めてうつ病と診断されるケースもあります。こうした身体の不調や症状は、他の病気でもよく見られることですので、まずはきちんと一般内科等で検査を受けて、検査結果において身体的な異常が見つからなければうつ病を疑う必要があります。



【身体面の症状・まとめ】

  • なかなか寝つけない。
  • 真夜中の午前3時や4時ころに目が覚めて、その後眠れない。
  • 早朝に目が覚めて、悶々と悩む。
  • ちょっとしたことですぐに疲れ、その疲れがとれない。
  • 体がだるい。
  • 食欲がなく、食べても無理して食べる。
  • 何を食べてもおいしいと思わない。
  • 体重が減る。
  • 吐き気がする。
  • 便秘が続いたり、逆に腹痛や下痢が続いたりする。
  • 胃のあたりが気持ち悪い。
  • 頭痛や頭が重い。
  • 口が渇く。
  • 耳鳴りやめまいがする。
  • 動悸や息切れがする。
  • 手足のしびれがある。
  • 性欲が減退する。




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